持分なし医療法人への移行〜贈与税・相続税について〜


出資持分のある医療法人は、その出資者の死去により相続人から持分の払い戻しを請求されるケースや、病院長の死去により出資金評価額が相続財産に加算されることで相続税を納めなければならないという出資リスクを抱えています。多額の払い戻し金額や税金により、病院の経営ができなくなると、地域社会にも大きな影響を与えてしまいます。このような事態を回避するために、出資持分なし移行計画制度が制定されました。

目次

○出資持分なし移行計画認定制度

移行計画認定制度は平成26年10月1日からの3年間で出資持分に対する相続税と贈与税の納税猶予及び免除制度です。
病院への出資者が死亡し、その相続人が持分あり医療法人の持分を相続・遺贈により取得した場合、相続発生から10カ月以内に相続税を申告、納税することになります。
しかし、その法人が移行計画の認定を受けていれば移行計画の期間満了までの相続税の納税が猶予され、持分を放棄して持分なし医療法人に移行した場合には猶予税額が免除されます。注意点として、移行計画の認定を受けてから3年以内に持分なし医療法人に移行しなければ、相続税・贈与税は猶予または免除されません。
この移行計画の認定を受けた医療法人のことを「認定医療法人」といいます。

○認定医療法人

認定医療法人とは平成26年度税制改正にて「医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予等の特例措置の創設」により創設されました。
持分あり医療保人の継続を目的として、出資持分に対する相続課税や相続人による出資持分の払い戻し請求といった出資者の死去に伴うリスクを回避することができます。
この認定医療法人は、持分のない医療法人となる移行段階にある医療法人といえます。
持分のない医療法人では相続税問題は起こりませんが、出資者の全員が持分を放棄することは困難であり、その間に相続が発生した場合には医療法人の経営が難しい状況に追い込まれてしまうという対策として、この認定医療法人が創設されたのです。

○納税猶予について

持分なし医療法人への移行期間中に相続・贈与が発生した場合に納税猶予の手続きを税務署で行うことによって納税猶予が適用されます。しかし、この特例を受けるには一定の要件を満たす必要があり、申告書を期限内に提出すること、添付書類を揃えること・担保を提供することなどがあります。

○猶予税額免除について

移行期間の期限までに出資持分を放棄することができれば猶予税額の免除を受けることが可能です。その際に、医療法人から放棄申出書、出資者面簿の交付を受けて税務署に提出する必要があります。


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