「地域包括ケアシステム」に代表されるように、その地域にある病院・施設・行政などが連携してひとりの患者様をケアしていくという「連携」が重要視されるようになりました。これは介護分野だけでなく、医療分野も例外ではありません。クリニック開業では、常に経営を効率的に行い、中・長期的な目標を設定してそれに向けて実践していくことも大切です。しかし、クリニックの経営とは製品を販売したり、何かを製造したりすることが本業ではないため、自身のクリニックでできること・できないことがあります。患者様を囲いたいがあまり、経営を第一優先にして臨床を疎かにすれば医療事故の原因となってしまいます。そこで、クリニックを開業していくにあたり大切にしなければならないことは他の病院と連携を図ること、これを「病診連携」といいます。そして他のクリニックと連携を図る「診診連携」という考えを常に頭に入れておくことです。
目次
○病診連携・診診連携とはなに?
患者様は咳や発熱といった軽度の症状ではかかりつけ医となるクリニックや診療所を受診する場合が多いです。このかかりつけ医で検査や診察を行い、他の医療機関でさらに検査や診察をした方がよいと判断された場合には総合病院や大学病院、市中病院などの基幹病院を紹介します。このようにかかりつけ医などのクリニック・診療所から基幹病院への医療連携を「病診連携」といいます。ちなみに、紹介状を持たずに初診で基幹病院(200床以上)を受診すると初診時特定療養費(500〜10800円)が発生します。
一方で、かかりつけ医には耳鼻咽喉科・眼科・皮膚科などの専門的な診療を行なう医療機関があります。同じ地域にあるクリニックや診療所では、それぞれの医療機関が専門分野を中心に診療をしていく中で、他のクリニック・診療所とも連携をしながら患者様の診療を行っていきます。このような「クリニック・診療所」と「クリニック・診療所」間の医療連携を「診診連携」といいます。
○病診連携・診診連携のメリット
このような病診連携・診診連携がともに円滑に機能していると自身のクリニックでは十分に診察できない部分について他の病院やクリニック、診療所で補ってもらえるため、患者様はベストな医療サービスを受けることができるのです。
自身のクリニックで対応できないとなると患者様が離れてしまうという気がしますが、そうではなく「クリニックに相談して、大きな病院を紹介してもらってよかった」という信頼に繋がっていきます。