少子高齢化が進むなか、中小規模の病院経営は今後ますます厳しくなると考えられることから、経営改善のための見直しが必要になります。今回は目標設定と患者とのコミュニケーション、安定した収益の確立という基本的なポイントをもとに、病院経営の改善方法についてお話しします。
目次
1. 診療地域の特色をベースにした、確かな目標設定
病院経営を改善するにあたってまず大事なことは目標設定ですが、ただやみくもに目標数値をあげるのではなく、診療地域の特色を把握したうえで行うことが大事です。
中小規模の病院のほとんどが地域密着型であることから、このポイントは非常に大事です。診療地域の人口、年齢層、特に多いとされる病気、競合病院の有無など、地域についてわかることをリストアップしていきます。また、実際に来院する患者から特に多いニーズや病気を探ってみるのも手段の一つです。これらの特色が明確になることで、より現実的で実現可能な目標設定が可能になります。
2. 積極的なコミュニケーションで、患者に親しみを持たせる
来院する患者数を増やすことは、病院の収入拡大につながります。そこで患者との積極的なコミュニケーションに努め、地域から信頼される医院としてのポジションを確立する必要があります。
診療中はできるだけ明るい雰囲気を意識する、イベントや交流会などで患者とのつながりを深める、また患者を家族単位で診療できるような体制を整える、などがあります。患者側が病院に何を求めているのかをリサーチし、ニーズに応えられるような環境づくりをすることが求められます。
3. 経営におけるコストを見直し、安定した収益を確立する
収入拡大と同様、コストの見直しも病院経営の改善にとって重要なポイントです。安定した収益拡大を実現するためにも、必要に応じて人件費と物に対する費用を確認し、改善を促していきましょう。業務を進めるなかで非効率な部分が出てくるのであれば、よりコストがかからない方法を見つけていきます。
例えば人件費については、外部に業務委託を頼んでコストを抑える、可能であれば人員を減らすなどの方法があります。物に対しては医療機器や備品、消耗品などの価格を見直し、使用頻度や必要優先度に応じて購入スタイルを変えていくと、診療におけるコストを抑えられます。ただしあまりにコストカットに集中しすぎると、スタッフから反感を買ったり診療レベルや患者満足度を下げたりするリスクがあるので、適度な見直しが理想的だと言えます。
以上3点が、中小規模の病院経営の改善にあたってまず取り組んでいただきたいポイントとなります。現在の医療業務の参考にしていただき、経営改善に役立てていただけたら光栄です。
<参考サイト>
※1 厚生労働省、”中小病院における経営改善事例について”
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/igyou/igyoukeiei/kaizen.html
※2 日本クレアス 税理士法人 上田公認会計士事務所、”診療所経営改善チェックリスト/経営情報”
http://www.uedacpa.com/01/clinic/check/01_clinic_check.php
※3 積水ハウスの医療・介護、”クリニックの経営改善”
https://www.sekisuihouse.co.jp/medical/doctor/setup/taxlesson23.html