医師を目指すには中学生・高校生の頃に進路を決定し、医学部を受験するという流れがメジャーになっていますが、それより遅い年齢からご自分の職業として医師を選ぶ方も少なくないことでしょう。しかし、「自分の年齢ではもう遅すぎるかもしれない」と懸念されている方も少なくありません。そこで、医師を目指すのに年齢制限があるのか、実際の現場からお話ししていきます。
目次
1、 医師を目指すのに年齢制限自体はない
まず、医師になるのに年齢制限自体は存在しません。医学部に入れば国家試験を受けられますし、合格すれば平等に医師免許が与えられます。例えば、30代から医師を目指して医師免許を取得したり、結婚して出産を経てから医師になりたいと思ったりする方も多いです。
「若い人に交じって試験を受けたり研修を受けたりするのは躊躇しないのか」という不安に対しても、実際の現場ではよくある光景なので、特に抵抗感なく勉強や仕事ができると言われています。
しかし、一般的な年齢より遅い段階で医師を目指し、その後の成功が約束されているかは別問題です。医師になるまでに何年かかるか、退職金のリスクを踏まえたうえで検討する必要があります。
2、 医師になるには最短でも8年かかる
医師になるためには、
・医学部に入学して6年間学ぶ
・医師国家試験に合格後、研修医として2年間勤務する
・医師の資格を取得する
ということで、最短でも8年が必要となります。医学部入学のための受験勉強や万が一国家試験に不合格であった場合のリスクを考えると、それ以上の年月がかかる場合もあります。
また、2年間の研修後に3~5年間の後期研修を経て認定医・専門医の立ち位置につき、その後も10年以上大学病院などに努めてから開業する、などのケースもあります。医師そのものになるためには最短で8年かかりますが、医師として順調なキャリアを築いていくためにはそれに加えて10年以上かかることを覚えておきましょう。そのうえで、ご自分の年齢で医師を目指すにあたって問題がない段階にあるかを検討するべきです。
3、 退職金の有無も懸念材料に入れておくべき
医師になると、場合によっては一般企業に勤務するよりも高額な収入を得られますが、退職金を十分に受けられないというデメリットもあります。多くの病院では年俸制が導入されており、また頻発する勤務先の変更で全体的な勤続年数が少なくなるので、それほど多くの退職金を期待できません。そのため、退職後に老後の資金が足りないことがわかり、やむを得ずアルバイトをせざるを得ない医師も少なくないと言われています。
このようなリスクを避けるためにも、ご自分の年齢と老後を照らし合わせて将来設計をすることが求められます。
医師を目指すこと自体は何歳からでも可能ですが、その後の人生設計を順調にするためにはそれなりの覚悟と緻密なプランニングが必要です。医師を目指す方はそれについてよく知ったうえで、リスクの少ない道を進んでいきましょう。