今回は、医療法人と一般法人の細かい違いについて解説します。
比較するのは、出資持分なしの“基金拠出型医療法人”と、一般法人の中でも代表的な形態である“株式会社”との細かい違いです。
クリニックの院長として、今回紹介する細かい違いは必ず把握しておきましょう。
目次
“基金拠出型医療法人”と“株式会社”について
2007年に医療法が改正されたことにより、現在医療法人として設立できるのは、出資持分の定めがない“基金拠出型医療法人”のみとなっています。
医療法改正以前に存在していた出資持分ありの医療法人は、現在も“経過措置型医療法人”という名称で残存しています。
また一般法人も同じように、2006年の会社法施行によって、有限会社が設立できなくなったため、現在設立される一般法人のほとんどは株式会社となっています。
会社法が施行される前から存在していた有限会社は、“特例有限会社”と名称を変え、経過措置医療法人と同じように残存しています。
医療法人(基金拠出型医療法人)と一般法人(株式会社)の細かい違い一覧
・役員について
基金拠出型医療法人における理事は3人以上必要なのに対し、株式会社における取締役は1人以上必要と規定されています。
・登記について
基金拠出型医療法人における理事登記は、理事長のみ登記の必要があるとされていますが、株式会社はすべての役員を登記しなければいけません。
・代表者の選任方法について
基金拠出型医療法人では、理事長が理事会によって選任され、株式会社では代表取締役が取締役会によって選任されます。
・監査役について
監査役を必ず1人以上必要とする基金拠出型医療法人に対し、株式会社における監事は任意で設置することができるとされています。
また基金拠出型医療法人の監事業務は医療法に規定されていますが、株式会社の監査役業務は会社法に規定されているという点にも違いがあります。
・出資者について
株式会社の出資者は株主ですが、基金拠出型医療法人の出資者は“資金提供者”という扱いになり、医療法人の社員が務めることになります。
ただし、資金提供をしていなくても基金拠出型医療法人の社員になることは可能です。
まとめ
医療法人(基金拠出型医療法人)と一般法人(株式会社)には、これだけの細かい違いがあります。
この他にも医療法人と一般法人の細かい違いはありますが、取締役任期と理事任期がともに2年であり、再任が可能であることなど、共通している規定もいくつかあります。
医療法人と一般法人における同じ規定、異なる規定を正確に把握することで、クリニックの院長としてよりステップアップすることができるでしょう。