医療法人がMS法人を設立し、さまざまな取引をすることによって、節税や組織全体の収益性向上に繋がります。
ただ医療法人のMS法人の間で行われる取引には、数多くの規制があります。
ではなぜ、医療法人のMS法人の取引には規制が多いのでしょうか?
主な理由を2つほど解説します。
目次
医療法人とMS法人の取引に規制が多い理由①医療法人が非営利性を保たなければいけないため
医療法人とMS法人の取引に規制が多い理由として、まず医療法人が非営利性を保たなければいけないという理由が挙げられます。
医療法人が非営利性を保たなければいけない一方で、MS法人は株式会社、合同会社などの形態で設立されるため、非営利性を保つ必要はありません。
だからと言って、医療法人とMS法人の取引が規制されていないと、間接的に医療法人が非営利性を失ってしまうことにもなりかねません。
なぜかと言うと、医療法人の院長がMS法人の役員を兼務することも可能になってしまうためです。
院長がMS法人の役員を兼務していれば、業務委託契約書の締結、またはその契約書の内容の書き換えなども容易になります。
このような状況になり、医療法人が非営利性を間接的に失わないように、医療法人とMS法人の取引には多くの規制がされているのです。
医療法人とMS法人の取引に規制が多い理由②医療法人の収益のほとんどが社会保険料、税金であるため
医療法人とMS法人の取引に規制が多いもう1つの理由には、医療法人の収益のほとんどが社会保険料もしくは税金であるという理由が挙げられます。
国の考えは、収益のほとんどが社会保険料もしくは税金である医療法人は、収益をできるだけ医業に回してほしいというものです(役員や従業員への報酬は除く)。
ただ監督官庁であっても、医療法人の院長の収益をすべて管理することはできないため、MS法人との取引に規制を設けることで、医業以外に使われる収益を最低限にするという対処をしています。
この規制により、医療法人とMS法人の間で行われる取引のうち、該当するものは必ず都道府県知事に内容を報告しなければいけないようになりました。
これが“報告制度”です。
まとめ
医療法人とMS法人の取引に規制が多い理由について解説しました。
医療法人には非営利性の追求と、可能な限りの医業の充実が求められるため、MS法人との取引を規制されています。
ただ規制が多いと言っても、もちろん医療法人とMS法人の取引を一切禁止しているというわけではありません。
規制の範囲内で活用することができれば、MS法人は医療法人にとって大きな武器になります。