医療機関が“特定医療法人”に移行することによる節税効果


医療機関を経営する開業医は、要件をクリアして“特定医療法人”に移行することによって、大きな節税効果を得ることができます。
したがって今回は、医療機関が移行すべき特定医療法人の概要と、移行することによる節税効果を併せて解説します。
新たな節税対策を模索している医療機関は、ぜひ参考にしてください。

目次

特定医療法人の概要

医療機関が移行すべき特定医療法人とは、租税特別措置法という法律によって規定された医療法人のことを言います。
医療、社会福祉の普及や向上に貢献している、公的に事業が運営されているなどの要件をクリアし、国税庁によって認められることで、医療機関は特定医療法人に移行できます。
ではそんな特定医療法人には、どのような節税効果があるのでしょうか?

医療機関が移行すべき特定医療法人の節税効果

法人税の適用税率が低い

特定医療法人に移行すれば、通常の医療法人よりも法人税の適用税率が低くなります。
800万円までの利益については、通常の医療法人と同じ15%の税率が適用されますが、800万円以上の利益については、通常の医療法人が25.5%なのに対し、特定医療法人は19%となっています。

移行する際に課税されない

経過措置型医療法人が特定医療法人に移行する場合、法人税や所得税、贈与税は課税されません。
中でも、他の医療機関の形態では莫大な金額になる可能性もある贈与税が課税されないというのは、特定医療法人の大きな節税効果と言えます。

相続税が課税されない

これは特定医療法人以外にも言えることですが、特定医療法人は持分の定めがないため、相続税は課税されません。

医療機関が移行すべき特定医療法人の欠点は?

医療機関が特定医療法人に移行することで、さまざまな節税効果が期待できますが、特定医療法人には欠点もあります。
例えば理事の報酬が年間3,600万円までに制限されていたり、同族支配が認められていなかったりする点です。
つまり特定医療法人で多くの利益を上げても、ほとんどは特定医療法人内にのみ蓄積されていくということです。
また病床数の確保など、医療機関として優れた環境を整えなければ、特定医療法人として経営していくことができません。

まとめ

医療機関が特定医療法人に移行することによる節税効果を中心に解説しましたが、いかがでしたか?
医療機関の中でも、特に特定医療法人への移行を目指すべきなのは、やはり贈与税を節税できる経過措置型医療法人です。
ただ特定医療法人は、通常のクリニックや医療法人よりも経営の公益性が求められるため、開業医としての意識が高くなければ、継続して経営するのは難しいでしょう。


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