クリニックの医療法人化には、節税や事業展開におけるさまざまなメリットがあります。
ただメリットばかりに目が行ってしまうと、医療法人化によって思わぬ誤算が生じてしまう可能性があるため、注意が必要です。
したがって今回は、クリニックの医療法人化におけるデメリットについて解説します。
目次
クリニックの医療法人化におけるデメリット①書類作成の手続きが煩雑になる
クリニックが医療法人化することによって、書類作成の手続きが煩雑になるというデメリットが生まれます。
医療法人には、事業報告書、監査報告書を作成し、必ず各都道府県に提出しなければならないという義務があります。
またこれらの報告書や定款を必ず各クリニックに常備しておき、従業員などがいつでも閲覧できる状況を整えておかなければいけません。
クリニックの医療法人化におけるデメリット②交際費をすべて経費にできない
クリニックが医療法人化することで、交際費をすべて経費にできないというデメリットも生まれます。
個人開業医であれば、要件を満たすだけですべての交際費を経費にできますが、医療法人は飲食費の50%を超える金額、800万円を超える金額に関しては経費にできません(期末資本金1億円を超える場合)。
クリニックの医療法人化によって、節税面のメリットが生まれることは確かですが、こと交際費に関しては、節税面の恩恵は受けにくくなると言えるでしょう。
クリニックの医療法人化におけるデメリット③簡単に解散できない
個人開業医の場合、院長自身の都合で閉院するというケースはよくあります。
ただクリニックが医療法人化すると、院長自身の個人的な都合で勝手に解散することはできません。
なぜかと言うと、医療法人は個人開業医のクリニックとは違い、“地域医療の担い手”という役割があるためです。
つまりその地域で長く経営を続け、地域医療を活性化することを期待されている存在だということです。
したがって、医療法人を解散する際は、必ず各都道府県の許可を取らなければいけません。
またどうしても院長自身の都合で経営が困難になってしまった場合は、理事長を代わりに務める人物や、M&Aにおける買い手を探す必要があります。
まとめ
クリニックの医療法人化におけるデメリットをいくつか解説しましたが、いかがでしたか?
医療法人化のメリットばかりを見ている方は、今回解説したようなデメリットを見落としがちなため、医療法人化の前に必ず把握しておきましょう。
特に医療法人をなかなか解散できず、どんどん資金が目減りしていくといったような状況は、絶対に避けなければいけません。