【MS法人の税務リスク】税務否認された例とされなかった例


MS法人における1番の税務リスクと言えば、なんと言っても税務否認です。
税務否認されてしまうと、MS法人設立による恩恵をしっかり受けることができません。
今回は、クリニックがMS法人との取引に関して、税務リスクの1つである税務否認をされてしまった例と、されなかった例を併せて紹介したいと思います。

目次

【MS法人の税務リスク】税務否認されてしまった例

平成元年4月、あるクリニックの院長がMS法人に対して、クリニックにおける建物、給食、事務管理などの委託料を支払いました。
ただ、この委託料の金額は、適正管理費の金額を優に超えるものであり、このような委託料の支払いは、院長が行う行為としては不自然、不合理だとされ、結果的に税務否認される格好となっています。
また、平成14年には、別のクリニックの院長が、MS法人に支払った医療機器の貸借料(リース料)が過大だとして、所得税の更生、追徴課税という処分を受けています。
つまり、クリニックが支払うものが委託料であろうが、リース料であろうが、不自然に高額であれば、ほとんどの場合、税務否認されてしまうということです。

【MS法人の税務リスク】税務否認されなかった例

平成13年、税務署は、あるクリニックの院長がMS法人の請負業務に対して支払った外注費が、著しく高額だということを主張しました。
ただ、そのクリニックの院長とMS法人が締結した請負契約書には、業務に係る費用の負担に関する記載があり、MS法人は請負業務を行うにあたり、派遣従業員に係る賃金等だけでなく、賃金等の3~5割相当の光熱費等を負担していることが分かりました、
このような形態は、一般的な人材派遣と言える上に、MS法人は、クリニックの院長が営む医療保険業の業務全般を委託されていると考えるのが相当とされ、結果この外注費に関しては、税務否認されることがありませんでした。
上記の例でわかるように、MS法人が行う業務に実態が認められれば、クリニックの院長から支払う委託料や派遣料も、経費として認められるのです。
もちろん、業務委託をする際は、必ず契約書を作成し、許可がいる業務も把握しておかなければいけません。

まとめ

ここまで、MS法人における1番の税務リスク、税務否認をされた例とされなかった例について解説しました。
税務署から、委託料等が高額すぎるという理由で税務否認を受けると、不服審判所あるいは裁判において、その判定をひっくり返すことは困難です。
したがって、MS法人を活用するのは良いことですが、単に委託料等を支払うだけで良いと考えていると、痛い目に遭う可能性があるため、注意しましょう。


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