MS法人の設立には、事業の幅が広がる、株式等の発行による資金調達ができるといった、経営上のメリットや、個人の利益を圧縮できる、所得を分散できるといった税金上のメリットがあります。
ただ、そのようなメリットばかりに注目してMS法人を設立すると、以下のような失敗に繋がる可能性があるため、注意してください。
目次
MS法人のメリットばかりに注目して失敗した例①支出が多くなる
MS法人のメリットばかりに注目し、支出が多くなってしまったというケースはよくあります。
MS法人を設立するということは、2つ目の法人を作るということになるため、支出が多くなるのは当然のことです。
具体的には、設立時にかかる設立費や司法書士、税理士への依頼費、継続的にかかる社会保険料や賃料、消費税、法人住民税などの支出が増えることになります。
MS法人のメリットばかりに注目して失敗した例②贈与税、相続税が高くなる
MS法人のメリットばかりに注目して、株式の贈与税、相続税が高くなってしまったという失敗も、決して少なくありません。
クリニックや医療法人の院長がMS法人の株主となる場合、株価が高額になってから、次の世代に株式を移転すると、贈与税、相続税がとても高くなってしまい、所得税の減税分が無駄になってしまうことがあります。
そのため、MS法人を次の世代に承継する場合は、始めから後継者が株主になっておくことをおすすめします。
MS法人のメリットばかりに注目して失敗した例③法律に違反してしまう
MS法人のメリットばかりに注目し、知らず知らずの間に法律に違反してしまったというケースもよく見られます。
例えば、クリニックや医療法人の院長の中には、「MS法人と医療法は関係ない」と思っている方もいるかもしれません。
ただ、これは間違いであり、“MS法人と医療法は関係ない”というわけではなく、あくまで“MS法人が医療法の規制を受けない”という解釈が正解です。
これを理解していない院長は、医療法人の役員とMS法人の役員を兼務しようとしたり、MS法人で行う業務についての許可申請をしなかったりと、知らないうちに医療法あるいは薬機法に違反してしまう可能性があります。
まとめ
ここまで、MS法人のメリットばかりに気を取られ、失敗してしまうケースについて解説しました。
新事業を行うためにMS法人を設立したにも関わらず、その事業の許可を取れなかったり、節税目的で設立したにも関わらず、かえって税負担が大きくなったりしてしまうと、そこまでの苦労が水の泡になってしまいます。
そのため、MS法人設立時には、デメリットやリスクにもしっかり目を向けるようにしましょう。