開業医が活躍し続けられるのは何歳までなのか?


今後美容クリニックを開業しようとする方の中には、開業医が活躍し続けられるのは何歳までなのかについて、疑問に思っている方もいるでしょう。
これから医師として、数々の医療を提供していくわけですから、このような疑問を抱くのは当然です。
今回は、開業医が活躍し続けられる年齢のことを中心に解説したいと思います。

目次

開業医が活躍し続けられるのは何歳まで?

開業医が活躍し続けられるのは、基本的には65歳までとされています。
一般的な公務員の定年が60歳とされているのを考えると、開業医はそれよりも少し長く働くことができます。
また、開業医として活躍し続けられなくても、院長という立場を別の人物に譲り、自身は非常勤医師として、引き続きそのクリニックをサポートしたり、他のクリニック等に移ったりする方もいます。
つまり、“開業医”として活躍し続けられるのは、基本的には65歳までですが、“医師”としては、もっと長い間活躍できる可能性があるということです。
実際に、70歳や80歳という高齢になっても、医師としてクリニックで手腕を発揮する方は多く存在します。

医師は何歳までに引退したいと考えている?

開業医が活躍し続けられる年齢については、基本的には65歳までという話をしましたが、もちろんこちらの年齢よりも早く現場を退くことも可能です。
では、開業医を含む医師の方々は、何歳までに引退したいと考えているのでしょうか?
“m3.com CAREER”が医師1,427人を対象に調査した結果によると、開業医を含む医師が引退したい年齢は、以下のようになっています。

・64歳以下:10%
・65~70歳:28%
・71~75歳:29%
・76~80歳:16%
・81歳以上:17%

何度も言うように、開業医として活躍し続けられる年齢は、基本的には65歳とされています。
しかし、こちらの調査結果を見てみると、きっちり65歳で現場を退きたいと考える医師は全体の28%しかいません。
また、65歳より早く引退したい医師に至っては、全体のわずか10%しかいないことがわかります。
上記は開業医だけでなく勤務医も含まれている調査結果のため、一概には言えませんが、開業医の多くが「定年を超えても医師として活躍したい」と考えていることは、こちらの数字を見るだけでも理解できます。

【年代別】医師が引退を希望する理由は?

先ほど紹介したm3.com CAREERのアンケートでは、開業医を含む医師が引退を希望する年齢だけでなく、その理由に関しても調査されています。
ここからは、医師が引退を望む理由について、年代別に見ていきたいと思います。

64歳以下

64歳以下で現場を退きたいと考える医師は、主に以下のような理由での引退を希望しています。

・身体がまだ元気なうちに引退し、のんびり好きなことをしたいから
・65歳を超えても集中力を維持できる自身がないから(外科系医師)
・患者さんは最新の医療を求めているから など

65~70歳

65~70歳、つまり開業医としての定年と言える年齢で引退したい医師は、主に以下のような理由を挙げています。

・これくらいまでなら、診察を受けても良いと自分自身が思う年齢だから
・一般の会社員は65歳まで定年を延長するケースが多く、これくらいの年齢が妥当だと感じるから
・70歳以降は、自身や家族のために使いたいから など

71~75歳

71~75歳と、比較的高齢での引退を望む医師は、以下のような希望理由を挙げています。

・年金をあてにできないため、これくらいの年齢までは働きたいから
・子どもの教育費がかかり、老後生活に不安があるから
・子どもが勤務医からクリニックを承継すると思われる年齢だから など

76~80歳

76~80歳で現場を退きたいと考える医師は、主に以下のような理由での引退を希望しています。

・せっかく資格を取得したので、細くても長く働きたいから
・認知症対策になるから
・医師不足と言われている中、元気なうちは少しでも地域医療に尽くしたいから など

81歳以上

81歳以上というかなり高齢での引退を希望する医師は、主に以下のようなことを希望理由として挙げています。

・医師としての能力を発揮できるうちは、引退はないと考えているから
・実際に80歳以上まで働く医師を見ると、生き生きしているから など

このように、開業医を含む医師が引退を望む理由は、年代によって微妙に異なります。
美容クリニックを開業し、開業医として今後何年も活動することを考えている方は、自身の引き際を考える際、上記の調査結果を参考にすることをおすすめします。

65歳以降の開業医に人気の働き方について

65歳を過ぎたタイミングで開業医という立場から退き、医師としての働き方を変える方は多く存在します。
では、65歳以降の開業医に人気の働き方には、具体的にどのようなものがあるのでしょうか?

非常勤医師

こちらは、本記事における最初の部分でも少し触れた働き方です。
具体的には、原則日勤のみで、引き続き医師としてそのクリニックをサポートするという働き方です。
少ない場合は、週1回のみ勤務するというケースもあります。
昨今、医療業界は慢性的な医師不足に悩まされていて、常勤医の激務増加問題も表面化しています。
よって、経験と実力のある開業医がリタイアし、非常勤医師としてサポートしてくれるということは、クリニックにとって非常にありがたいことだと言えます。

健康診断医

健康診断医とは、文字通り健康センターなどに勤務し、健康診断を実施する医師をいいます。
主な仕事は、治療ではなく病気等を見つけることであり、患者さんの既往歴や生活習慣についてのヒアリングなどを通じ、生活指導を行うこともあります。
美容クリニックの開業医が健康診断医になる場合は、その美容クリニック自体から退き、健康センター等の医療施設に移籍するケースがほとんどです。

介護老人保健施設の医師

65歳を超えたタイミングで、介護老人保健施設へと移り、働き方を変える開業医の方も多いです。
介護老人保険施設とは、“老健”とも呼ばれるものであり、介護を必要とする高齢者の自立を支援し、在宅復帰や在宅療養支援などを行うための施設です。
長期入院が明けてから自宅に戻るまでの期間、利用されるケースが多いです。
また、こちらで働く医師は、リハビリテーションを中心とした入居者の日常の健康管理および健康指導を主な業務としています。
また、開業医が介護老人保健施設に移る場合、施設長の役職を兼ねることもあり、その場合はスタッフへの指示、人材管理および配置、施設の財務管理、入居希望者への入居可否判断なども行います。

産業医

産業医とは、事業所において労働者が健康で快適な作業環境のもと仕事を行えるよう、専門的な立場から指導、アドバイスを行う医師のことをいいます。
具体的には、職場の巡視や作業環境による健康リスクの評価および改善、従業員への健康教育、各事業所が設置している衛生委員会への参加、従業員への健康診断などの業務を行います。
ただし、産業医を務めるには、産業保健の理念や労働衛生に関する専門的知識に精通していなければいけないため、開業医を引退するまでにしっかりと準備をしておかなければ、こちらのキャリアを選択するのは難しくなります。

まとめ

ここまで、開業医が活躍し続けられる年齢、または医師が引退したいと考える年齢、開業医を退いた後のキャリアなどに解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
開業医として活躍し続けられる年齢には、ある程度決まりがありますが、開業医ではなく、あくまで一医師として活躍し続けられる年齢に関しては、特に制限がありません。
今後美容クリニックを開業しようとする医師の方は、このことをしっかりと頭に入れておきましょう。


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