自由診療クリニック開業のメリットや注意点、手続きについて


自由診療クリニックとは、文字通り保険が適用されない診療をメインに行うクリニックを指しています。
では、自由診療クリニックを開業するメリットや注意点には、一体どのようなことが挙げられるのでしょうか?
ここからは、開業の手続きや経営する上での考え方などとあわせて解説しますので、ぜひご覧ください。

目次

自由診療クリニックの概要

保険診療は、国民健康保険や健康保険に加入している方が医療機関で受ける、公的医療制度の対象となる診療です。
病気やケガで病院を訪れる場合、どこのクリニックで診療を受けても、診療内容が同じであれば金額は変わりません。
こちらは、国民健康保険法や健康保険法により、あらかじめ病気に対する治療方法と診療報酬が定められているからです。
一方、自由診療とは、公的医療保険の対象とならない診療を指しています。
例えば、日本ではまだ未承認であるものの、海外では承認済みの最先端技術を活用した治療法を受ける場合などが、自由診療に該当します。
自由診療クリニックは、提供する施術メニューの大半を自由診療が占めています。
また、代表的な自由診療クリニックとして挙げられるのが、美容クリニックです。
美容クリニックは、医師が美容施術を行う医療機関であり、シミや毛穴の開きなどを医療用レーザーで治療したり、シワやたるみをヒアルロン酸注射や高周波、超音波などを用いた治療器で治療したりといった自由診療を多く扱っています。
ちなみに、美容クリニックと美容院、エステのような美容サロンは可能な施術が異なり、レーザー治療やヒアルロン酸注射など、身体の構造、機能に影響を与える高度な施術は、医療機関である美容クリニックでしか行えないことになっています。
今後美容クリニックの開業を目指す方は、まず保険診療と自由診療の違いをしっかりと学ぶところから始めましょう。

自由診療クリニックを開業するメリット

自由診療クリニックを開業するメリットは、なんといっても新しい医療技術、医薬品にチャレンジできるという点です。
特に美容クリニックの場合、他院ではあまり取り扱っていない最先端技術を用いた施術、最新の医薬品などが求められるケースが多く、こちらは大きなメリットだと言えます。
そして、上記の施術メニューにおける料金に関しては、自由診療クリニック側が自由に設定できます。
このことから、保険診療とは違い、「思いの外利益を得ることができなかった」というケースは少なくなります。
また、自由診療では、患者さんのニーズに応じて、細かな検査なども実施することができるため、患者さんの体質や状態に合わせた施術メニューを提供できる可能性があります。
もちろん、単純に治療方法の種類に制限がなく、患者さんの希望通りの仕上がりにできるというのもメリットです。
例えば美容クリニックであれば、「鼻を高くしたい」「垂れ目を矯正したい」といったさまざまな要望がありますが、保険診療の範疇では、これらの要望に応えることはできません。
その他、日本で未認可の医薬品や、公的に認められた適応疾患以外の医薬品も使用できます。

自由診療クリニックを開業する際の注意点

前述の通り、自由診療クリニックは、自由診療の診療をメインに提供するクリニックです。
また、最先端技術を用いる施術メニューが多く、どうしても医療費は全体的に高額になってしまいます。
こちらの点は、自由診療クリニックにとっても、患者さんにとっても注意すべき点だと言えます。
自由診療クリニックは、提供する診療の料金が高い分、他のポイントをアピールして集患を行わなければいけませんし、患者さんは料金が高いことにより、気軽に施術を受けることができなくなります。
その他、不測の事態が起きかねないという点も、自由診療クリニックを開業するにあたっての注意点です。
こちらは、日本で未承認の治療、医薬品が扱われるケースが多いことが理由です。

自由診療クリニックを開業する際の手続き

自由診療クリニックを開業する際の手続きは、まず臨床研修等修了医師となり、クリニックを開設するところから始まります。
臨床研修(医師臨床研修制度)は、診療に従事しようとする医師が、2年以上都道府県知事の指定する病院または外国の病院において、厚生労働大臣の指定するものにおいて、研修を受ける制度です。
こちらを修了することで、晴れて臨床研修等修了医師として、自由診療クリニック開業の第一歩を歩み出すことができます。
そして、法律上は、クリニックを開設してから10日以内に開設届を提出することになっていますが、これだけではまだ自由診療を行うことはできません。
施術メニューとして自由診療を提供できるようにするには、開設届と併せて各種添付書類も提出しなければいけません。
また、都道府県によってルールは異なりますが、自由診療クリニックを開設する前、もしくは開設した後に、保健所の職員がクリニックを訪れ、実査が行われることもあります。
ちなみに、前述した手続きで実施できるようになるのは、あくまで自由診療のみです。
保険診療もあわせて提供するには、クリニックを開設した後に、保険医療機関として認められるための手続きを行わなければいけないので、注意してください。
具体的には、定められた申請様式に基づき、クリニックが所在する都道府県を管轄する事務所に対して指定申請を行います。
その後、地方社会保険医療協議会への諮問を経て、指定が行われた場合、指定通知書が発送されます。
指定が行われた旨については、各都道府県の厚生局における事務所の掲示板、およびホームページでも公示されます。

自由診療クリニックを経営するにあたって心掛けること

自由診療クリニックの開業手続きがすべて完了し、いよいよ経営をスタートさせることになった場合には、必ず心掛けてもらいたいことがあります。
それは、自由診療クリニックに訪れる患者さんを、“お客様”だと思うことです。
保険診療を中心に提供するクリニックの場合、訪れるのは病気やケガを治すため、“やむを得ず”訪れる患者さんです。
つまり、可能であればクリニックを訪れたくない方も含まれているということです。
一方で、自由診療クリニックに訪れるのは、決して安いとは言えない費用を支払い、保険が適用されない施術を受けに来る方々です。
こちらは、自分の意思で自由診療クリニックを訪れようと考える方であり、いわば“お客様”なのです。
もちろん、保険診療を受けに来る患者さんを雑に扱って良いというわけではありません。
しかし、自由診療を受けにクリニックを訪れる方に対しては、どれだけ高品質の医療サービスが提供できるか、料金体系は適切かどうかといったことについて、より慎重に考えた上で接する必要があります。
ちなみに、自由診療クリニックの経営では、日々の診療や施術に加え、さまざまな角度から収益アップに向けての課題発見、改善を進めることも大切です。
保険が適用されない自由診療の分野においては特に、新しいメソッドや医療機器の導入検討、他院での成功事例の研究、市場調査など、開業医としての視点に加え、経営者としての視点も重要になってきます。

まとめ

ここまで、自由診療クリニック開業のメリットや注意点、開業手続きなどについて解説してきましたが、いかがだったでしょうか?
前述した通り、自由診療クリニックでは、海外の最先端技術での処置が行われるケースも珍しくなく、多くの患者さんが質の良いサービスを求めて来院します。
そのため、サービス業のように強いホスピタリティの意識を持っていないと、すぐ競争に敗れてしまう可能性があります。


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