深刻な人手不足に悩むクリニックが、できるだけ早く医師を確保する方法としては、主に“派遣”と“業務委託”の2つが挙げられます。
これらは似たような意味を持つ契約形態ですが、決して同じものではありません。
本記事では、双方の主な違いやメリットなどについて解説したいと思います。
目次
派遣の概要
医師の派遣とは、派遣会社と医師が雇用契約を結び、派遣先で就業する契約形態をいいます。
一般派遣契約、特定派遣契約など、さまざまな形で派遣は行われますが、これらは基本的にクリニックでは認められていません。
なぜなら、医師の派遣は原則法律で禁止されているからです。
ただし、最長6ヶ月の派遣期間終了後、医師本人と派遣先の合意を得て正社員雇用ができる“紹介予定派遣契約”の場合は、医師の派遣が認められることになっています。
派遣のメリット
クリニックが医師を派遣で確保する場合、業務委託に比べて業務改善がしやすくなります。
業務委託の場合、現場の細かい運用を話す場合でも、委託業者の担当者を交えて打ち合わせを行い、契約書の範囲に含まれているかどうかを確認しなければいけません。
一方、派遣の場合は、派遣先と派遣医師の間に指揮命令権が存在するため、上記のような煩わしさからは解放されます。
業務委託の概要
医師の業務委託とは、委託業者に所属する医師が派遣先で就業する形態をいいます。
こちらの形態の場合、医師とクリニックの立場は対等であり、あらかじめ業務内容や費用、納期等を定めた上で、業務が進められます。
ちなみに、業務委託には“請負契約”と“委任契約”の2種類があり、前者は業務の完成、後者は業務の遂行そのものを目的としています。
業務委託のメリット
クリニックが医師を確保する方法として、派遣ではなく業務委託を選択する場合、従業員の管理は容易になります。
例えば、派遣で医師を確保する場合、クリニックはその医師に関する以下のような管理を行わなければいけません。
・勤怠管理
・シフト調整
・教育進捗管理 など
一方で、業務委託の場合、これらの管理業務は委託業者が行ってくれるため、クリニックは大幅に時間や手間を省くことができます。
まとめ
クリニックは、医師を派遣や業務委託で確保することができますが、実施する際は双方の概要を事前に把握しておきましょう。
イメージと実情が異なる場合、派遣または業務委託の導入により、余計にクリニックの負担が大きくなってしまうことも考えられますので注意してください。
また、双方を比較する際には、費用がどれくらいかかるのか関しても細かくチェックしておくとよいです。