開業医が閉院する主な理由や対策、閉院時の流れについて


クリニックを経営し、患者様の期待に応え続けてきた開業医にも、いずれは閉院のときが訪れます。
では、開業医が閉院を考える主な理由には、一体どのようなことが挙げられるのでしょうか?
ここからは、閉院させないための対策や、やむを得ず閉院する際の流れなどについて解説したいと思います。

目次

開業医が閉院を考える主な理由

開業医が閉院を考える理由は人によって異なりますが、以下の理由での閉院は特に多く見られます。

・後継者がいない
・経営状況が悪い
・転職を検討している

後継者がいない

年齢のことは気にせず、身体が元気なうちは活躍し続けたいと考える開業医は多いですが、70歳前後になるとほとんどの方が体力的な衰えを感じ、引退を考えます。
しかし、後継者がいないことにより、クリニックを存続させることができない場合は、自身が退くだけでなく、クリニック自体を閉院させなければいけません。
クリニックの後継者は、引退を考えたタイミングで探すものではなく、早い段階で目ぼしい人材を見つけておき、数年かけて育成する必要があります。
また、中には後継者として期待していた人物がいたものの、実際はクリニックを承継するつもりがなく、引退直前で後継者を失ってしまうというケースもあります。

経営状況が悪い

1985年の医療法改正で一人医療法人が認められるようになり、1989年以降には、無床クリニックの数も大幅に増加しました。
当時に開業したクリニックは、ホームページなどが存在しなくても、かかりつけ医として安定した集患を実現していましたが、コロナ禍の昨今ではそのようにもいきません。
クリニックのホームページやSNSのアカウントなどが存在しない場合、患者様は診療日や診療時間を確認するため、わざわざ電話をかける必要があります。
また、いつも待合室が混雑していると、三密が避けられない状態となり、このようなクリニックは少しずつ集患に苦戦するようになります。
このように、以前より経営状況が悪化し、今後の回復が見込めない場合も、開業医は閉院・引退を考えることがあります。

転職を検討している

クリニックを開業したにもかかわらず、なかなか集患数が伸びなかったり、医療収支が赤字続きだったりする場合、開業後もしばらくは非常勤勤務で収入をカバーする開業医もいるかと思います。
しかし、コロナ禍が長期化していることもあり、いつ黒字になるのかの見通しがつかないのであれば、損害が大きくならないうちにクリニックを閉院し、別の職業へと転職する方が良いと考える開業医も少なからず存在します。

その他の閉院理由について

上記以外で、開業医がクリニックの閉院を考える理由としては、以下のようなことが挙げられます。

・身体が元気なうちにクリニックを閉院し、のんびり好きなことをしたい
・70歳以降は家族のために時間を使いたい
・一般的な会社員の定年に近づいたから
・今後も医療行為に必要な集中力を維持できる自信がない など

クリニックを閉院させないための対策について

開業医という立場を退き、クリニックを閉院すると口で言うのは簡単です。
しかし、クリニックの閉院には廃業手続きや医療機器の処分、物件の原状回復、従業員の退職金支払いなど、さまざまな費用がかかります。
また、地域のクリニックが閉院するとなると、地域医療の担い手が減ってしまうという問題にもつながります。
そのため、自身は引退するとしても、なるべく閉院させないことを考えるべきです。
クリニックを閉院させないための対策としては、まず第三者に事業承継することが挙げられます。
事業承継であれば、後継者がいないクリニックでも実行することはできますし、譲渡益や営業権の取得により、引退後の資金も確保することができます。
その他の対策としては、やはり宣伝広告に力を入れることが挙げられます。
看板やホームページ、SNS(LINE、Instagramなど)、チラシ、交通広告など、クリニックが宣伝広告に活用できるツールは数多くあります。
特にコロナ禍では、患者様が求める情報を発信していないクリニックは選ばれにくく、閉院を余儀なくされる可能性が高いです。

やむを得ず閉院する際の流れ

これ以上手の尽くしようがなく、どうしても閉院しなければいけないという場合は、クリニックのある管轄の保健所や厚生局などの各窓口へ、必要書類を提出しなければいけません。
具体的には、保健所に診療所廃止届を提出したり、厚生局に保険医療機関廃止届を提出したりする必要があります。
また、従業員には閉院する3ヶ月前までにその旨を伝え、規定があれば退職金の支払いや、退職する際の社会保険手続きなども行わなければいけません。
もちろん、患者様に対しても閉院の旨は伝える必要があり、閉院の数ヶ月前までには別のクリニックを探し、引き継ぎを行うなどの配慮が必要です。

まとめ

ここまで、開業医がクリニックを閉院する理由や、閉院を避けるための対策、閉院時の簡単な流れなどを解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
開業医が引退する際は、必ずクリニックを閉院しなければいけないわけではありません。
後継者がいればそのままクリニックは存続しますし、他にも第三者への事業承継といった選択肢もあるため、視野を広く持って引退の形を決定すべきです。


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