医師会加入の一般的な流れや年会費の金額について


開業医が医師会に加入することで、収入の増加や広告宣伝効果のアップなど、さまざまなメリットにつながります。
では、医師会への加入は、一体どのような流れで行われるのでしょうか?
また、加入する場合、年会費はどれくらいかかるのでしょうか?
今回は医師会の概要とあわせて、これらの点について解説します。

目次

医師会の概要

ここでいう医師会とは、日本医師会のことを指しています。
日本医師会は、47都道府県医師会の会員をもって組織する学術専門団体であり、医道の高揚、医学および医術の発達ならびに公衆衛生の向上を図り、社会福祉を増進することを目的としています。
医師の生涯研修に関する事項、地域医療の増進発展に関する事項、保険医療の充実に関する事項など、さまざまな活動や提言を行っています。
また、開業医は医師会に加入することにより、多くの患者様と触れ合う機会が増え、冒頭で触れたように収入や広告宣伝効果をアップさせることができます。
その他、医師の賠償責任保険に加入できることや、医師年金制度を利用できることなども、医師会に加入するメリットです。

医師の賠償責任保険とは?

医師の賠償責任保険とは、万が一医療事故が発生したときの保険のことをいいます。
具体的には、日本医師会員の医療事故によって紛争が起こった場合に、賠償と紛争の解決を日本医師会、都道府県医師会、保険会社の3者がバックアップする制度です。
対象となる医療事故は、医療行為によって生じた身体の障害につき損害賠償を請求され、その請求額が100万円を超えたものです。

医師年金制度とは?

医師年金制度とは、老後の生活の安定を目的に、日本医師会が設ける積立型私的年金制度をいいます。
65歳から受給が開始される15年保証の終身を基本とした医師のための年金で、現在40,000人以上の会員が加入しています。
加算保険料の増額や減額、随時払込など、いつでも何度でも利用でき、「医師として従事している間は年金受給を開始しない」など、希望に合わせて年金の受け取りを開始することも可能です。

医師会加入の一般的な流れ

開業医による医師会への加入は、まず最寄りの医師会を探すところから始めます。
日本医師会の公式ホームページから、全国各地の医師会を検索することができるため、こちらを活用すればよりスムーズに進みます。
また、最寄りの医師会が見つかった後は、郡市区医師会で入会手続きを行います。
無事入会手続きが完了し、都道府県医師会に入会したら、そのまま日本医師会に入会申込を行い、会員になるという流れが一般的です。
弁護士などとは異なり、開業医は必ずしも医師会に加入しなければいけないわけではありません。
しかし、前述のように大きなメリットがあるため、入会を選ぶ方は多いようです。
ちなみに、医師会のルールは地域によって異なり、事前に医師会への挨拶をしないうちにクリニックを開業すると、入会する気がないと見なされることもあるため、注意が必要です。

医師会の加入割合について

厚生労働省が発表している2018年の医師、歯科医師、薬剤師統計によると、全国の医師数は約32万7,210人です。
こちらに対し、日本医師会に加入している医師は約17万人であるため、加入割合は50%強です。
この数字だけを見ると、あまり加入割合は高くないように感じますが、こちらは勤務医の会員も含む数字です。
日本医師会員のうち、半分強は勤務医が占めていて、こちらを除外した開業医のみの加入割合でいうと、およそ90%と一気に数字が大きくなります。

医師会の年会費について

医師会への加入は、開業医にとってプラスになるものですが、会員になる場合は年会費を支払わなければいけません。
日本医師会における具体的な年会費の金額は以下の通りです。

会員区分 金額
A① 126,000円
A②(B)(30歳超) 68,000円
A②(B)(30歳以下) 39,000円
A②(C) 21,000円
B 28,000円
C 6,000円

ちなみに、上記の会員区分の詳細は以下になります。

A①:病院、クリニックの解説者、管理者およびそれに準ずる会員
A②(B):A①会員およびA②会員(C)以外の会員
A②(C):医師会に基づく研修医
B:A②会員(B)のうち、日本医師会医師賠償責任保険加入の除外を申請した会員
C:A②会員(C)のうち、日本医師会医師賠償責任保険加入の除外を申請した会員

クリニックの開業医は基本的にA①に該当するため、126,000円の年会費を負担する必要があります。
ただし、医師会加入時には、日本医師会、都道府県医師会、郡市医師会の3つに同時加入することになるため、年会費の総額は100~500万円程度にまで跳ね上がることもあります。
郡市医師会や都道府県医師会の年会費については、検索する際に直接問い合わせておくことをおすすめします。

まとめ

ここまで、医師会加入の一般的な流れや年会費の金額などを中心に解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
開業医の多くは医師会に加入していて、恩恵を受けながら日々地域医療に貢献しています。
もちろん、開業したてのクリニックにとって、年会費の支払いは負担が大きいですが、それを補って余りあるメリットを得ることができるため、加入して損はありません。


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