クリニックの事業承継を実施する前にチェックすべきこと


クリニックの事業承継を検討している院長先生は、今一度自院の現状をチェックしましょう。
「経営が厳しくなったから」「体力的に辛くなったから」といった理由だけで、簡単に事業承継を決定してしまうと、後継者に大きな負担をかけてしまう可能性があります。
今回は、具体的に何をチェックすべきなのかを中心に解説します。

目次

クリニックの事業承継を実施する前にチェックすべき2つのポイント

現役を退き、クリニックを後継者に譲ることを考えている院長先生は、事業承継の手続きを進める前に、以下のポイントをチェックすべきです。

・今後の利益見込みについて
・後継者の気持ちについて

今後の利益見込みについて

クリニックの事業承継を検討する院長先生は、まず今後自院に利益が出る見込みがあるのかどうかを把握しましょう。
慢性的な従業員不足やコロナの影響などにより、クリニック業界の環境は、現状決して恵まれているとは言えません。
また、クリニックの後継者となる方(子どもなど)の中には、これまでクリニックとは無関係の業界で働いてきたという方も少なくないため、仮に引き継いだとしても、現時点より収益が悪化する可能性があります。
そのため、院長先生は後継者のことを考え、前もって今後の利益を期待できるような土台、要素を生み出す必要があると言えます。
もし、事業承継をしてもほとんど利益が出る見込みがないのであれば、現院長先生の代でクリニックを廃業することも考えなければいけません。

後継者の気持ちについて

クリニックの事業承継を検討する院長先生は、後継者が本当に継ぎたがっているのかも把握しなければいけません。
院長先生がそのつもりでいても、後継者になってもらいたい旨を伝えたときに、拒否されてしまうというケースは往々にしてあります。
また、後継者が中途半端な気持ちのまま、クリニックの事業承継を実施したとしても、そこから大幅に評判や利益が上がる見込みは低いと言えます。
もっと言えば、後継者がクリニックを引き継ぐことに対してあまり乗り気ではない場合、後述する古参従業員問題も起こりやすくなります。

クリニックの事業承継における古参従業員問題とは?

クリニックの事業承継における古参従業員問題とは、簡単に言うとクリニックの院長先生が変わったことで、後継者と古参従業員の間で起きるトラブルのことです。
例えば、後継者と古参従業員との間で起きがちなトラブルとしては、古参社員が後継者の言うことを聞かないということが挙げられます。
古参従業員は、長い間そのクリニックに勤務していて、場合によっては現院長先生より古参ということも考えられます。
そのような古参従業員が、後継者の人選に納得できない場合、なかなか両者の関係はうまくいきません。
また、古参従業員が他の従業員から信頼されているという場合、後継者はクリニックの責任者となったにも関わらず、味方を失うことも考えられます。
このような事態を避けるために、現院長先生は、事業承継前に古参従業員、後継者ともに働きやすい環境を整える努力をする必要があります。

古参従業員問題における対策3選

クリニックの古参従業員問題が起こらないために、現院長先生が取っておくべき対策には、以下のことが挙げられます。

・事情説明を徹底する
・人事異動を行う
・引退を勧める

事情説明を徹底する

こちらは古参従業員だけに限ったことではありませんが、クリニックの従業員には、後継者の選定理由を詳しく解説し、理解してもらう必要があります。
もちろん、事業承継では親族内承継も多いため、「息子だから後継者に選んだ」と言えばそれまでかもしれません。
しかし、それだけでは納得しない古参従業員やその他の従業員も出てくるでしょう。
後継者を選定した理由だけでなく、選定に至った過程や後継者に引き継いだ後の体制などを事細かに説明できれば理想的です。

人事異動を行う

現院長先生は、後継者にクリニックを完全に引き継ぐ前に、新体制に先駆けた人事異動を行うべきです。
現院長先生から後継者へ事業承継がされる際、そのままの体制ではうまく後継者のサポートができる体制になっていない場合があります。
また、こちらの人事異動も粛々と進めるわけではなく、古参従業員には特に意図を詳しく説明しましょう。
特に、古参従業員が急に責任の重いポストに異動することになる場合、納得してもらうには、実績を重視した人事異動だということを強くアピールすることが大切です。

引退を勧める

さまざまな対策を取っても古参従業員が納得してくれないという場合、その古参従業員に引退を勧めるという対策もあります。
ただし、こちらの対策は、あくまで古参従業員が高齢の場合のみ有効です。
一線から退くことを勧め、引退後の具体的な待遇も考慮することで、事業承継後のトラブルは回避できる可能性があります。

まとめ

ここまで、クリニックの事業承継を実施するにあたり、事前にチェックしておくべきポイントや、古参従業員問題について解説してきました。
院長先生は、事業承継を計画的に進め、問題が発生しないか最後までしっかり見届ける必要があります。
また、引退後は非常勤医師などの形態でクリニックに残り、できる限り後継者のサポートに回ることも検討しましょう。


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