開業医として自身のクリニックを開院したタイミングで、日本医師会に加入しようと考えている方は多いかと思います。
日本医師会に加入すると、収入や広告宣伝効果が大きくなるなどのメリットを得ることができるほか、“医師年金”にも加入することが可能です。
今回は、こちらの医師年金について詳しく解説します。
目次
医師年金の概要
医師年金は、日本医師会が運営する医師のための私的年金です。
近年、公的年金だけでは、現役時代の生活水準を維持することが困難になっています。
一方、医師年金に加入すれば、医師会に所属する開業医の方が現役を引退した後も、ゆとりのある生活を送ることができます。
加入資格については、日本医師会の会員であること、満64歳3ヶ月未満であることをクリアしていれば、誰でも申し込むことができ、毎月15日(締切日)までに加入した場合、翌月1日が加入日となり、同月(加入日の属する月)から保険料の支払い開始となります。
医師年金の保険料について
医師年金の保険料は、加入者全員が払い込む基本年金保険料、任意で払い込む加算年金保険料の2つで構成されています。
これらの保険料を合算した金額を、将来養老年金として受給できるという仕組みです。
それぞれの保険料についてもう少し詳しく見てみましょう。
基本年金保険料
基本年金保険料は、満65歳を迎えるまで、医師年金の加入者全員が支払わなければいけません。
金額は月額12,000円、年138,000円で、一括払いの場合は払込時の年齢に応じた金額を支払います。
加算年金保険料
加算年金保険料は任意の払込であるため、必ずしも支払わなければいけないわけではありません。
月額の場合は1口6,000円の整倍数を口座振替で、随時払いの場合は1口10万円の任意の金額を振込用紙で支払います。
どちらも金額の上限はなく、加入後に金額を増減したり、払込を中止したりすることも可能です。
医師年金のメリット4選
開業医の方が日本医師会に加入し、その流れで医師年金にも加入することには、以下のようなメリットがあります。
・日本医師会会員のための私的年金
・一生涯受け取ることが可能
・選べる4つのコース
・年金の受け取り開始時期を延長できる
日本医師会会員のための私的年金
医師年金は、日本医師会会員のみが加入できる私的年金であり、非常に良心的な内容となっています。
自身で払い込んだ保険料は、そのまま年金原資として運用され、将来年金給付されますし、事務手数料は振込手数料に対して0.25%しかかかりません。
つまり、振り込んだ金額の99.75%は、すべて開業医自身の年金資産に組み込まれるということです。
また、医師のキャリア形成、ライフステージに合わせ、加入年齢の上限が高く設定されているところもメリットです。
日本医師会の会員で、満64歳3ヶ月未満(申込時点)であれば、誰でも加入できます。
一生涯受け取ることが可能
医師年金における基本年金の部分は、全体的に寿命が延びている現代にふさわしく、一生涯受け取ることができます。
また、後述しますが、加算年金については終身年金(一生涯)もしくは確定年金(5年、10年、15年)で受け取ることが可能です。
選べる4つのコース
医師年金には、B1、B2、B3、B4という4つのコースがあり、受給開始時に受け取り方法を選択することが可能です。
それぞれの特徴は以下の通りです。
・B1コース:基本年金、加算年金のいずれも一生涯同じ金額を受け取るコース
・B2コース:加算年金のみ、5年間ですべて受け取るコース(基本年金は一生涯)
・B3コース:加算年金のみ、10年間ですべて受け取るコース(基本年金は一生涯)
・B4コース:加算年金のみ、15年間ですべて受け取るコース(基本年金は一生涯)
年金の受け取り開始時期を延長できる
医師年金の受給開始は、原則満65歳からです。
ただし、加入してから間もない方や、もっと年金額を増やしたい方、今後も医師として現役を続行する方などは、満75歳まで受け取り開始時期を延長させることができます。
もちろん、延長期間中であっても、加算年金保険料を払い込むことができます。
その他の詳細や特徴について
医師年金は、日本医師会に向けて加入申込書を郵送することで加入できます。
加入申込書受付後には、受領のお知らせが送付され、およそ2~8週間後に、第1回目の保険料払込のお知らせがあります。
ちなみに、開業医の方が日本医師会の会員ではなくなった場合の医師年金の取り扱いについてですが、満65歳未満で日本医師会を退会した場合は、医師年金からも脱退しなければいけません。
また、払い込んだ保険料については、脱退一時金利率を加えた元利合計額を、脱退一時金として受け取ることが可能です。
まとめ
ここまで、日本医師会に加入するのであればぜひ注目していただきたい、医師年金について解説してきました。
医師年金は、開業医に優しく、自由度も高い私的年金であり、現役引退後の大きな資金となるものです。
日本医師会のホームページから、受け取り年金額のシミュレーションもすることができるため、気になる方は一度利用してみてください。