クリニックにおける防災対策のポイントについて解説します


日本では、東日本大震災以降も、熊本や北海道など全国各地で大きな地震が発生し、中には甚大な被害を受けたクリニックもあります。
そのため、クリニックは今一度、適切な防災対策のポイントを押さえておかなければいけません。
ここからは、具体的にどのような対策が必要なのかについて解説します。

目次

クリニックにおける防災対策のポイント7選

大規模な災害の発生時、クリニックが対処能力を高めるためには、以下の防災対策を徹底する必要があります。

・クリニックそのものの安全対策
・必需品の確保
・災害時の役割決め、防災訓練
・入院患者さんの安全対策
・関係機関や患者さんの家族との連絡体制
・地域社会との協力、連携
・地震関連情報による準備行動

クリニックそのものの安全対策

まず、クリニックは建物や設備そのものの安全対策を実施しなければいけません。
具体的には、以下のような対策です。

・立地条件のチェック
・建物の耐震診断、耐震化対策の実施
・屋内外の備品や工作物の落下、倒壊に備えた対策の実施
・危険または有害な物品(毒物、劇物など)の漏出防止 など

必需品の確保

クリニックは、地震などの災害が発生したときに備えて、ある程度必需品を確保しておかなければいけません。
内容については、クリニックの実情に応じたものになりますが、普段から以下のようなものの備蓄は意識しておきましょう。

・飲料水(1日1人あたり3リットル)、生活用水
・非常用食料、日用生活品
・医薬品、医療用具、医療ガス
・動力、エネルギー供給源(自家発電装置など) など

災害時の役割決め、防災訓練

クリニックでは、実際に災害が発生した際、各従業員がどのような役割を担うのかについて、事前に決定しておくべきです。
また、従業員全員が参加する防災訓練の実施や、初期活動の重点項目確認など、シミュレーションを行っておくことも大切です。

入院患者さんの安全対策

入院患者さん用の病床があるクリニックでは、そちらへの対応が優先されるため、有事の際に適切な対応ができるよう、以下のポイントを把握しておく必要があります。

・重症者は誰なのか
・点滴、人工呼吸器などの状況はどうなのか
・移送する場合の移送手段や移送先 など

関係機関や患者さんの家族との連絡体制

クリニックで大規模な災害が発生すると、電話などの連絡手段が絶たれてしまうことも考えられます。
このようなケースに備えて、自治体や消防署などの関係機関、患者さんの家族との連絡体制について、事前に確認しておくことも、重要な防犯対策の1つです。

地域社会との協力、連携

クリニックが災害に遭った際には、地域社会を始めとする各関連機関、団体等のサポートが必要になります。
そのため、普段から以下のような交流や連携は意識しておかなければいけません。

・地域との協力体制づくり(地域住民、自主消防組織、他のクリニック、NPO、その他のボランティア団体など)
・医療救護班の派遣、応急救護所としての役割確認
・人工透析、在宅酸素療法を要する在宅患者などへの対応 など

地震関連情報による準備行動

クリニックで災害が発生した際には、周辺の公共交通機関が運行を停止したり、交通規制が行われたりする可能性もあります。
そのため、火災や津波などの二次被害を適切に回避できるように、以下の対策は取っておかなければいけません。

・注意情報、警報発表時に従業員が取るべき行動の周知徹底
・注意情報の段階で実施する従業員および患者さんへの情報伝達 など

災害発生時における従業員の具体的な行動例

クリニックにおいて、実際に災害(地震)が発生した場合、従業員は以下のような流れで冷静に対応すべきです。

・従業員、患者さんの安全確保
・人数やケガの確認
・避難経路の確保、消防への連絡

従業員、患者さんの安全確保

地震が発生したら、まずは立ち上がらず、患者さんに大きな声で「地震が発生しました。イスに座って両手で頭を抱えてください」と伝えます。
このとき、処置中の患者さんの近くにいる従業員は、あまり動くと危険であるため、まずは自身の安全を確保しながら、患者さんに寄り添います。

人数やケガの確認

大きな揺れが収まった後は、患者さんの人数を確認し、ケガをしていないかどうかもチェックします。
このとき、トイレの個室の中などの確認も忘れてはいけません。

避難経路の確保、消防への連絡

院外への避難に関しては、院長先生が判断します。
具体的には、外部の道路事情、火災発生の状況などを見て、院内よりも外部が安全だと判断される場合に、地域の避難所への移動を促します。
ただし、このときには近隣から治療の要請がある可能性も考慮しなければいけません。

まとめ

ここまで、クリニックにおける適切な防災対策のポイントについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
自然災害が多い日本においては、今後どのエリアで大規模な災害が発生してもおかしくありません。
そのような場合に、従業員や患者さんの安全を守り、被害を最小限に抑えるための対策を取ることは、クリニックの使命だと言えます。


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