旗竿地でクリニックを建築するという選択肢について


土地といえば、長方形あるいは正方形のものを思い浮かべる方が大半だと思います。
しかし、必ずしもすべての土地がこのような形とは限りません。
中には、少し歪な形状の土地もあり、その代表的なものに旗竿地が挙げられます。
ここからは、旗竿地にクリニックを建築することのメリット・デメリットを解説したいと思います。

目次

旗竿地の概要

道路に接する間口が細長く、その奥に開けたスペースがある土地を旗竿地(はたざおち)といいます。
上から見た形が竿に付いている旗に似ていることから、このように呼ばれています。
特殊な形状の土地を指す不整形地の一種で、一般的に細い路地部分が建物の建築スペースとして使用されることはありません。
主に、土地の価値が高い都市部でよく見られ、相続時の分割などで発生するケースが多いです。
ちなみに、京都もこのような土地が多いことで有名であり、ウナギが細長い形状を好むことから、“ウナギの寝床”と呼ばれています。

旗竿地でクリニックを建築することのメリット

旗竿地でクリニックを建築することのメリットとしては、主に以下のことが挙げられます。
詳しく見ていきましょう。

・価格が安い
・道路の音が聞こえにくい
・路地部分を活かしたクリニックが建てられる

価格が安い

たとえ同じエリア、同じ広さの物件であっても、形が整った土地より、旗竿地の方が安く購入できるケースが多いです。
こちらは、不動産の査定において、整形地か否かが重要なポイントになるからです。
つまり、形が歪というだけで、土地の価格は一気に下がるということです。
よって、予算的に土地を買うのは難しいと考えていたエリアであっても、旗竿地なら十分購入のチャンスはあるでしょう。

道路の音が聞こえにくい

旗竿地は路地部分がある分、建物を建てるスペースから前面道路までが離れています。
そのため、たとえ交通量が多かったとしても、入口を出るとすぐ道路がある物件よりは、エンジン音などが聞こえにくくなるでしょう。
もちろん、道路と建物の距離がある分、患者さんのプライバシーも守られやすくなります。

路地部分を活かしたクリニックが建てられる

旗竿地を購入してクリニックを建築する場合、路地部分は駐車・駐輪スペースとして使用されるケースが多いです。
長方形や正方形などの土地では、上記のスペースを確保した上でクリニックを建てるため、少し建築可能なスペースが狭くなりますが、旗竿地ではそのような心配がありません。
その他、旗竿地では路地部分の面積を算入することにより、それほど建蔽率や容積率を気にせず、大きめのクリニックを建築できる可能性があります。

旗竿地でクリニックを建築することのデメリット

一方で、旗竿地にクリニックを建築することには、以下のようなデメリットもあります。
こちらも必ず把握しておきましょう。

・デッドスペースが生まれる可能性がある
・外構工事費がかかりやすい
・風通し、採光が良くない

デッドスペースが生まれる可能性がある

旗竿地の路地部分を、駐車場などとして利用できれば良いですが、そうでない場合、こちらのスペースは邪魔になってしまう可能性があります。
もちろん、特に使い道がない場合、単純に入口・間口間のストロークが長くなるため、患者さんが不便に感じる可能性も否定できません。

外構工事費がかかりやすい

外構とは、建物の外側にある構造物全体を指す言葉で、主に以下のものが該当します。

・門
・車庫
・アプローチ
・塀、柵、垣根 など

旗竿地は、同じ面積の整形地と比べると、塀などの外構が長いため、必然的に工事費も高くなります。
その他、駐車スペースにコンクリートを敷く工事なども、思いの外工事費がかさむケースが多いため、注意してください。

風通し、採光が良くない

旗竿地は、相続時の分割などで発生するケースが多いため、周囲は基本的に別の建物に囲まれています。
そのため、方角によっては、十分な風通しや採光を得られないかもしれません。

再建築不可の旗竿地には注意しよう

旗竿地に建物が建っている状態で購入する場合、再建築不可の物件を購入しないように注意しましょう。
建築基準法では、幅4m以上の道路に2m以上間口が接していない土地には、原則建物を建ててはいけないというルールが定められています。
つまり、路地部分の先と前面道路の設置部分が2m以下の場合、その旗竿地は再建築不可物件ということになり、既存の建物を取り壊して、新たにクリニックを建築することができません。
ちなみに、間口が2m以上あったとしても、直接建築基準法上の道路に接していない場合は再建築ができないため、物件購入時にはしっかりとチェックしましょう。

まとめ

旗竿地は、路地部分にクリニックを建築できませんし、デッドスペースが生まれやすいため、一見不便な土地に見えがちです。
しかし、実際はデメリットばかりではなく、設計時にあれこれ工夫することで、コストを抑えながらクリニックを建てることができます。
もちろん、旗竿地のみに絞って土地を探す必要はありませんが、物件探しの際に見かけた場合は、一度詳しくチェックしてみることをおすすめします。


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