クリニックの各構造におけるメリット・デメリット


居住用の建物と同様に、クリニックの建物にはさまざまな構造があります。
よって、今後建築を予定している開業医の方は、立地だけでなく構造も考慮して、クリニック造りをしていなかければいけません。
ここからは、各構造におけるメリット・デメリットを中心に解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

クリニックの構造の種類

クリニックの構造としては、主に以下の3つが挙げられます。

・SRC造
・RC造
・S造

SRC造

鉄骨鉄筋コンクリート造のことをSRC造といいます。
Steel Reinforced Concreteの略で、名前の通り鉄骨と鉄筋コンクリートを組み合わせて作られています。
高層マンションなど、高層の建築物にはこちらの構造が採用されるケースが多いです。

RC造

鉄筋コンクリート造のことをRC造といいます。
引張力と圧縮力に対して異なる性質を持つ2つの材料(鉄筋、コンクリート)を組み合わせることで、強靭の構造を作り出します。
また、RC造は柱や梁といった構造部材の代わりに、壁で建物を支える壁式構造が採用されているケースが多いです。

S造

鉄骨造のことをS造といいます。
具体的には、梁や柱などの骨組みに鉄骨を用いたもので、クリニック以外にも、マンションやアパート、一戸建てやビルなど幅広く採用されています。
ちなみに、S造は使用する鋼材の厚さによって、以下の2つに細分化されます。

S造の種類 鋼材の厚さ
重量鉄骨造 6mm以上
軽量鉄骨造 6mm未満

各構造のメリットについて

では、上記のクリニックの構造におけるメリットを順番に見ていきましょう。

SRC造のメリット

SRC造のクリニックには、以下のようなメリットがあります。

・強度が高い
・効率的な造り
・材料同士で弱点を補い合っている
・耐用年数が長い

強度が高い

SRC造は、強度が高い鉄筋コンクリートが鉄骨の周りにあることで、他の構造よりも強度を上げることができます。
また、RC造が持つメリットのほとんどは、SRC造も同じように持っています。

効率的な造り

RC造の場合、どうしても壁や柱は厚く、太くなってしまいますが、SRC造は、柱の中心に最初から鉄骨が入っているため、その分壁や柱を薄くすることができます。
つまり、RC造に比べると、同じ敷地でもSRC造の方が空間を広く使えるということです。

材料同士で弱点を補い合っている

SRC造は、S造の錆びやすいという点をコンクリートで補い、揺れに関しては鉄骨を組み込むことで耐震性を強くしています。

耐用年数が長い

SRC造の耐用年数は、47年と非常に長く、これからクリニックを開業する方の状況に応じて、融資期間を長く取ることも可能です。

RC造のメリット

続いては、RC造のメリットを見てみましょう。

・遮音性が高い
・火に強い
・揺れに強い

遮音性が高い

RCはコンクリートで覆われていて、音が響きにくく騒音トラブルの可能性も低いため、周辺環境によってはこちらが有利に働きます。

火に強い

コンクリートは木材に比べて燃えにくい材質であり、高い耐火性が期待できます。
そのため、一室の火事が他の部屋、他の建物に燃え移る可能性は低いです。

揺れに強い

RC造はコンクリートだけでなく鋼材も使用されているため、地震の揺れに強く、災害時の被害は抑えやすくなります。

S造のメリット

次に、S造のクリニックのメリットを見てみます。

・耐震性が高い
・建築費がリーズナブル

耐震性が高い

S造のクリニックは、強い地震の揺れが生じても振動を吸収するため、倒壊または破損が起こりにくい性質になっています。

建築費がリーズナブル

ある程度の強度を持っているにも関わらず、S造はRC造やSRC造と比べてリーズナブルな建築費で建てることができます。

各構造のデメリットについて

それぞれ優れた点を持つクリニックの構造ですが、実際その構造の物件を選ぶのであれば、必ずデメリットも知っておきましょう。

SRC造のデメリット

SRC造は、S造とRC造の良いとこ取りのような構造ですが、その分工程は複雑化するため、工期も長くなりやすいです。
また、工期が長くなる分、どうしても建築コストはかかりやすくなってしまいます。

RC造のデメリット

RC造は、場合によっては地盤の強化などが必要ですし、気密性が高いので結露も発生しやすいです。
もちろん、結露を防止するための適切な換気システムを導入するには、建築コストを上乗せしなければいけません。

S造のデメリット

S造の中でも軽量鉄骨造の場合、やや遮音性に不安があります。
また、S造はそれほど耐火性が高くありません。
そのため、屋根や外壁、天井や床等に耐火性能の高い素材を使うなどして、火災への備えをする必要があります。

まとめ

ここまで、クリニックの建物における各構造のメリット・デメリットを見てきましたが、いかがでしたでしょうか?
クリニックを一から建築する場合、どうしても集客に適した立地かどうか、患者さんが過ごしやすい内装にできるかといった点にばかり注目しがちです。
しかし、構造に関しても慎重に選ばなければ、思いがけないトラブルが集患やクリニックの経営に影響を及ぼす可能性もあるため、注意が必要です。


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