資金に余裕がある方の中には、キャッシュで購入代金を一括払いし、クリニックの物件を取得しようと考えている方もいるかもしれません。
つまり、融資などを使わないという選択肢です。
では、物件を現金一括払いで購入することには、どのようなメリット・デメリットがあるでしょうか?
詳しく解説します。
目次
現金一括払いでの物件購入におけるメリット
まずは、融資等を利用せず、現金のみで物件を購入するメリットを見ていきましょう。
具体的には、以下のことが挙げられます。
・融資に関する費用が一切かからない
・購入をスムーズに進められる
・欲しいときにすぐ手に入れられる
1つ1つ順番に見ていきましょう。
融資に関する費用が一切かからない
クリニックの物件を現金一括払いで購入すれば、当然融資に関する費用は一切かかりません。
支払利息や信用保証協会に支払う保証料などの費用は、すべて無料です。
新創業融資制度などを利用する場合、制度融資と比べると若干金利が高くなる場合もあるため、これは非常に大きなメリットだと言えます。
購入をスムーズに進められる
物件を現金一括払いで購入することのメリットとしては、購入をスムーズに進められるということも挙げられます。
制度融資などを利用する場合、物件購入の手続きと併せて、申し込みや本審査、契約手続きなどを行わなければいけません。
もちろん、1つの金融機関に相談するだけでは、条件の合った融資が見つからないこともあるでしょう。
また、信用金庫から融資を受ける場合は、信用保証協会の保証が必要であるため、申込から融資を受けるまでに数ヶ月かかる場合があります。
そのため、自身が設定した時期にクリニックの開業ができず、スタートダッシュに失敗してしまう可能性もあります。
一方、現金一括払いで購入すれば、上記のような時間はすべてカットできます。
気に入った物件があれば、細かいチェックをして申し込み、売買契約を結んで代金を払うだけで物件が自分のものになり、比較的スピーディーにクリニックを開業することが可能です。
欲しいときにすぐ手に入れられる
物件の現金一括払いは、限られた方にしかできません。
物件の購入費用はもちろん、購入時にかかるさまざまな諸費用に関しても、すべて自己費用で賄わなければいけないからです。
ただし、一括払いの場合、理想の物件が不動産会社で売り出されているタイミングであれば、欲しいときに欲しい物件にすぐ申し込めます。
もちろん、物件情報は細かくチェックしなければいけませんが、「他の購入希望者に先を越されてしまった」ということは、比較的起こりにくいと言えます。
現金一括払いでの物件購入におけるデメリット
一方で、クリニックの物件を現金一括払いで購入することには、以下のようなデメリットもあります。
・資金ショートの危険性がある
・税務署からお尋ねが来る
詳しく見ていきましょう。
資金ショートの危険性がある
手元にまとまった資金があれば、それを物件の購入費用に充てることができます。
しかし、どれだけ勤務医時代などに貯蓄を増やし、現時点で資金を持っている方であっても、一括払いをすれば、大きく自己資金が減少します。
これにより、今後生活費、教育費など私生活でかかる大きな費用を工面できず、資金がショートしてしまう可能性はゼロではありません。
特に、子どもの教育費用は、場合によっては想像以上に高くなることがあります。
もちろん、現在は子どもがいなくても、物件購入後には複数人の子どもを授かっているかもしれません。
物件の現金一括購入は、そこまで考慮した上で、実際行うかどうか判断する必要があります。
税務署からお尋ねが来る
物件を購入したという事実は、登記によって税務署に知られることになります。
その場合に、数千万円単位の大きな金額を支払っていることがわかると、税務署から“お尋ね”が来る可能性があります。
こちらは、税務署が発行する文書のことを指していて「どのようにして購入資金を調達したのか」ということを購入者に尋ねるために送付されます。
特に、親から資金援助を受け、現金一括払いをした場合に、「贈与税はきちんと納めているか」ということを確認されることが多いです。
もちろん、資金援助に対して贈与税を支払っていれば、何の問題もありませんし、そもそも自身の貯蓄から購入資金を捻出した方にとっては、ほとんど関係のない書類と言えます。
ただし、融資等を利用しての購入では、基本的には送られてこない文書のため、関係のない方にとっては、少しわずらわしさを感じるかもしれません。
まとめ
ここまで、現金一括払いでのクリニックの物件購入について解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
自己資金に余裕があり、なおかつ物件購入後もある程度その状況を維持できるのであれば、現金一括払いで物件を購入しても構いません。
しかし、融資を受けるケースと比較することは大事であるため、双方のメリット・デメリットを知った上で、どちらが自身に向いているのかを判断すべきだと言えます。