【クリニックの物件購入】売買契約書の反社会的勢力排除条項について


クリニックの物件購入時に交わされる不動産売買契約書には、さまざまな内容が記載されています。
このとき、特に開業医の方が注目すべき条項の1つに、“反社会的勢力排除条項”というものがあります。
今回は、こちらの条項の概要や、契約書に記載されなかった場合のリスクなどについて解説します。

目次

反社会的勢力排除条項の概要

不動産を売買する際、買主または売主が反社会的勢力であると判明した場合に、相手方がその関係を遮断するために設ける条項を反社会的勢力排除条項といいます。
こちらは、暴力団排除条例が全国で制定されたことからもわかるように、反社会的勢力との関係遮断が、社会の要請であることを理由に設けるものです。
もちろん、単純に開業医の方が、危険な人物から不動産を購入してしまい、後々トラブルに巻き込まれるのを防ぐ意味合いもあります。
では、反社会的勢力排除条例は、具体的にどのように記載すべきなのでしょうか?

売買契約書における反社会的勢力排除条項の記載方法

クリニックの物件を購入する開業医の方は、売買契約書を確認する際、以下のような記載により、反社会的勢力排除条項が設けられているかをチェックしなければいけません。

・自らが暴力団等、反社会的勢力でないことを確約する
・反社会的勢力に自己の名義を利用させ、この契約を締結するものではないことを確約する
・自らまたは第三者を利用して、相手方に対する脅迫や暴力を用いる行為、または偽計や威力を用いて、相手方の業務を妨害し、信用を毀損する行為をしないことを確約する
・自らまたは第三者を利用して、本物件を反社会的勢力の事務所その他の活動の拠点にしないことを確約する
・上記の確約に違反があった場合、相手へ催告することなく契約を解除できる など

つまり、簡単にまとめると、反社会的勢力排除条項を設けることで、開業医の方は暴力団等の危険人物と取引してしまっても、それがわかったとき、無条件で契約を解除できるということです。

反社会的勢力排除条項が契約書に記載されなかったらどうなる?

もし、反社会的勢力排除条項を含まない契約書で、不動産売買契約を結んでしまったら、開業医の方はとても苦しい思い、怖い思いをする可能性があります。
なぜなら、たとえ暴力団等の相手方から、契約内容に関して不当な要求をされたり、脅迫されたりしても、即刻契約を解除することはできないからです。
警察に相談するなどの対処は可能ですが、反社会的勢力は、民事法あるいは刑事法上違法にならないように巧みに行動するため、簡単に問題は解決しません。
相手方が危険な人物とわかっているにもかかわらず、関係を持ち続けなければいけないほど、怖いことはありません。
もちろん、厄介な売主とのやり取りでは、膨大な時間と労力を消費しますし、弁護士などにサポートを受けようにもコストがかかるため、簡単に何度も依頼するわけにはいきません。
反社会的勢力排除条項は、反社会的勢力にとって非常に苦しい条項ですから、売買契約書に含まれているかどうかのチェックは、絶対に忘れてはいけません。

開業医の方が自身でできる反社チェックの方法とは?

「見た目や言動などが怪しい」「もしかしたら暴力団ではないか」などと疑問に思った場合は、開業医の方が自身で反社チェックをしてみましょう。
具体的には、以下のような方法を用いて行います。

・ネットで検索する
・専門業者に依頼する
・公的機関を利用する

ネットで検索する

最初から最後まで、買主自身でできる反社チェックの方法といえば、なんといってもネット検索です。
Googleなどの検索エンジンを利用して、売主の名前を検索しましょう。
その結果、新聞社サイトあるいは官報のような信憑性の高いメディアに、以下の言葉とともに相手方の名前が出てきたら、“クロ”だと考えるべきです。

・容疑、処分、訴訟、送検、逮捕 など

もちろん、相手方が法人名義の場合は、法人名だけでなく、役員全員の個人名もすべてチェックしなければいけません。

専門業者に依頼する

こちらは、文字通り反社チェックの専門業者に依頼するという方法です。
開業医の方自身が怪しいと感じている売主について、イマイチ反社会的勢力であるという確証が得られない場合は、この方法を試してみましょう。

公的機関を利用する

全国各地には、“暴力追放運動推進センター”という公的機関が設けられています。
こちらは、いわば暴力団被害者の“駆け込み寺”のような機関であり、暴力団に関するあらゆる情報を持っているため、契約前に利用すれば、売主が反社会的勢力に該当するかが判明するかもしれません。

まとめ

ここまで、クリニックの物件購入時、不動産売買契約書に記載される反社会的勢力排除条項について解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
取引相手が反社会的勢力であることなど滅多にありませんが、誰もが反社会的勢力と取引するリスクを抱えるのは事実です。
そのため、売買契約書や重要事項説明書は隅々まで内容を確認し、万が一のときに備えておくことが大切です。


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