しっかり確認しておきたい、クリニックの開業手続き


医師免許を持っているだけで、すぐにクリニックが開業できるわけではありません。さまざまな申請や届出、消防署の査察といったプロセスを経て開業を迎えることになります。その流れや手順について、確認していきたいと思います。

 

目次

勝負は診療所開設届の提出前から始まっている

無床もしくは19床以下の規模の医療機関を開業する場合、通常「診療所開設届」を提出しなければなりません。クリニックを開設した日から10日以内に、開業地を管轄している保健所に届けるものと定められていますが、これはあくまで医療法第8条の記載内容です。実際には、開設届の提出前から、保健所に相談しておかないとスムーズに受理されない可能性が高いのです。多くの場合、レイアウトや内装で指導・指摘が避けられません。つまり、工事の施工計画の段階から相談しておく必要が出てきます。また、すでに同じ地域に同一の名前のクリニックがあれば名称を変更しなければなりません。先に工事を進めてしまって、看板などができている状態での名称変更は大きなダメージとなってしまいます。開業前から積極的に働きかけて、円滑な受理を目指すのがベターです。

保険診療を行うための手続きも忘れずに

診療所開設届が受理されれば、晴れて貴院は開業を迎えられます。ところが、この状態では保険診療ができません。公的な医療保険を使った診察には「保険医療機関」として認められなければいけないのです。手続き的には厚生局に「保険医療機関指定申請」を提出するだけなのですが、提出のタイミングによっては指定までにタイムラグが生じてしまうことに注意が必要です。都道府県ごとに保険医療機関の指定日が異なるので、計画的にスケジュールを立てておきましょう。指定がズレ込んでしまうと、経営にとって大きな痛手です。もちろん、診療所として認められているので、自由診療は行えるのですが……。

主な提出書類

開業にあたっての一般的な提出書類は以下のとおりです。自治体や診療内容によっても異なりますので、詳細は所管の保健所等に問い合わせてください。

保健所に提出する書類
(1)開設届 ※医師免許なども必要
(2)診療所使用許可申請 ※有床の場合
(3)各種医療機関指定申請 ※結核など
(4)診療所開設許可申請書 ※開設が法人の場合
(5)ほか、診療用エックス線装置備付届 など

厚生局に提出する書類
(1)保険医療機関指定申請書
(2)基本診療料の施設基準等に係わる届出書
(3)特掲診療料の施設基準に係わる届出書

また、開業にあわせてスタッフを雇うのであれば、社会保険事務所や労働基準監督署などへの提出が必要な書類もあります。


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