医療法人としてクリニックを経営していく上で、法人税・事業税・法人住民税(都道府県民税と市町村民税)を納付しなければなりません。これらの税金は法人の種類などによって税率が異なり、減税措置も違います。それぞれの税金について理解を深めておきましょう。
目次
○法人税
法人の種類によって税率が変わります。医療法人は軽減税率が適用され、税率は所得が400万円以下の場合では5%、そして400万円を超える場合では6.6%となっています。
一般の法人では、400万円以下の場合で5%、そして400万円を超える場合には7.3%となり、800万円を超えればと9.6%となります。よって医療法人における軽減税率の適用により課税金額の差は大きくなります。
○事業税
事業税とは地方税法に基づき、それぞれの都道府県が定めた課税条例によって「事業」に対して課税されます。この事業税は2種類あり、個人事業に課税されるものを個人事業税、そして法人事業に課税されるものを法人事業税といいます。双方とも都道府県により税率が違います。
事業税は外形標準課税といい、一部の法人事業、そして資本金や出資金が1億円以上の法人が納税に該当します。
●事業税の減税
医療法人は地方税法にて「特別法人」に該当するため、事業税は課税されません。しかし、医療法人であっても自由診療の所得がある場合に関しては事業税が発生するため注意が必要です。
●個人事業者でも事業税が課税される
個人事業者も「個人事業税」として課税されます。不動産貸付や飲食店といった第一種事業(税率5%)、畜産業や水産業といった第二種事業(税率4%)、そして医業や歯科事業は第三種事業(税率5%または3%)に該当します。
また、事業を行う全ての個人については290万円の事業主控除が適用されます。なお、開業から1年未満の場合は月割りで控除額を計算します。
第三種事業の医業に関係する事業については、社会保険診療所得の特例があります。医業、歯科事業などについて、個人事業税は社会保険診療に関係する収入や経費のすべてを除外して計算します。都道府県にそれぞれクリニックや事務所がある場合には、都道府県ごとに所得金額などを基準として定めた割合で分割して計算して納税します。
②個人事業税
個人事業税は前年度の事業所得を毎年3月15日までに申告します。異なる2つ以上の都道府県にクリニックや事務所がある場合には、主たるクリニックがある都道府県知事に申告します。所得税の確定申告した場合には事業税の申告も行ったとみなされ、事業税の納期は8月と11月の2回納税します。納税金額が少ない場合にはどちらかの納期にまとめて納税します。