病院経営を行う際、開業にとって最も大きな懸念材料となるものの一つといえば、税金対策です。患者の医療機関選別化や新規開業の増加など、開業医を取り巻く環境が年々厳しいものになっていくなか、手元になるべく多くの資金を残すためには節税が欠かせないポイントになります。
基本的に課税所得と税率をかけた数値が所得税額になるため、節税のポイントとしては「所得を下げる」「税率を下げる」の2つが有効です。
目次
1、 経費や福利厚生を見直して所得税を下げる
税金のうち、最も多くの負担が見られるものの一つは所得税です。経費や福利厚生の見直しによってある程度の負担軽減が可能となるので、節税を検討する際には所得税からアプローチしてみましょう。
・業務に関連する出費のうち、経費として計算していないものはないか
・福利厚生はしっかりとなされているか
まず、この2つから注目してみましょう。例えば学会や研修会、講習会の参加費や交通費、取引先との交際費、スタッフを招待しての飲食費などは経費として計算できます。
また、
・30万円以下の備品と機械は購入時に全額経費となる(年間300万円まで)
・青色申告で特別控除を受けられる
など、ほかにも所得税を下げられるポイントがありますので、ぜひチェックしておきましょう。
2、 所得の分散や法人化などで税率を下げられる
開業医の節税としてもう一つ大切なものが、税率を下げることです。こちらでは、
・所得の分散
・法人化して法人税の適用を図る
ことを念頭に置いて対策していきましょう。
個人開業医が法人化し家族を専従者にする場合、また医療法人やMS法人に所得を分散する場合、個人経営よりも税率を低くできます。例えば院長の所得を3000万円と仮定して、それを分散(例:妻、医療法人、MS法人に500万円)すると、院長が3000万円の所得を受けて1120万円の所得税がかかるのに対して合計で730万円の税額で済み、390万円ほどの節税につながります。
さらに、法人化によって、
・個人事業では認められていない退職金の支給が可能になる
・生命保険の活用が可能になる
などと節税において有利なポイントが増えていきます。
3、 良い節税と悪い節税の見分けをつけることが大事
以上、開業医の節税についての2大ポイントをお話ししましたが、実際に経営をするなかで節税できる項目の見極めが難しいケースが少なくありません。ご自分の節税対策が良いものか悪いものか、なかなか判別できないことが多いでしょう。
その際には独自で判断せず、税理士などのプロによるサポートに頼りましょう。納税の義務を果たしつつ、納税者の権利である節税を有効活用することが大事です。
所得税と税率の見直しに加え、プロの意見を仰ぎながら、効率的な節税をしていくことをおすすめします。