これからクリニックの経営を始める方は、医療と消費税の関係について、それほど深く考えていないかもしれません。
ただ医療における消費税は大きな問題を抱えているため、クリニックの経営者となるのであれば、見過ごすことはできません。
具体的に解説しましょう。
目次
医療における消費税の仕組みについて
クリニックにおける保険診療は、消費税の対象にはなりません。
つまり、診療を受けた患者が消費税を支払うことはないということです。
一方でクリニック側は、クリニック経営のための経費、そして給与以外のものほとんどに対して、消費税を支払う必要があります。
例えば建物の賃料や消耗品、薬剤などは、消費税の課税対象になります。
また医療における消費税分を補填するために、診療報酬改定が行われましたが、これでも負担する消費税分の十分な補填はされませんでした。
これから消費税が10%に引き上げられることになっているため、医療の消費税問題はさらに深刻化することが予想されています。
消費税増税にはどう対応すべきなのか?
ここからは、医療の消費税問題に悩むクリニックが、増税にどう対応すべきなのかについて、具体的に解説します。
できるだけ自前の従業員を勤務させる
自院で雇用する従業員への給与には、消費税がかかりません。
ただ派遣会社から派遣してもらった従業員を勤務させる場合、派遣料に上乗せという形で、消費税が課税されてしまいます。
もし派遣料を年間300万円支払うとすると、自前の従業員を勤務させる場合と比べて、年間30万円も損することになるため、注意が必要です。
早めに医療機器を揃える
医療機器の購入を検討するクリニックが、増税前にまとめて購入すれば、もちろんすべて購入時の消費税率で購入できます。
したがって、増税後に少しずつ医療機器を揃える場合よりも、かなり消費税の負担額は抑えられます。
また医療機器をリースで揃える場合、償却までに負担するリース料は、借入を行う場合とほとんど同額ですが、再リースの場合は増税した分がリース料に乗せられてしまいます。
したがって、まとめて医療機器を購入するのが厳しい場合でも、リースではなく借入金で購入するべきだということです。
まとめ
医療と消費税の関係、増税への対策について解説しましたが、理解していただけたでしょうか?
医療と消費税はとても密接な関係にあり、なおかつ非常に複雑な関係にあります。
これからクリニックを開業するという方は、医療と消費税の関係性、そしてこれからの消費税増税に向けた対策を把握し、必ず経営に採り入れるべきだと言えます。