医療法人が事業承継を行う際の出資持分譲渡におけるルール


持分あり医療法人における出資持分の譲渡に関しては、医療法等に明確なルールが存在せず、その可否については明らかにされていません。
ただ、医療法人が事業承継を行う際の出資持分譲渡に関しては、一定のルールが定められています。
細かく解説していきましょう。

目次

医療法人が事業承継を行う際の出資持分譲渡におけるルール①退社せずに医療法人を承継する場合

先ほど触れたように、医療法においては、医療法人の出資持分の譲渡に関するルールが定められていません。
しかし、事業承継を行う場合は、実務上財産権である出資持分の譲渡が行われています。
そのため、実際の実態に合わせ、出資持分を有する社員は、社員資格を有したまま出資持分の全部または一部を譲渡できるとされています。
医療法人の事業承継では、前理事長は退任せず、社員資格を有したまま、理事長から理事に立場を移し、業務を遂行し、新しく社員として入社する後継者が、新しい理事長に就任することがあります。
この場合、社員資格を有している前理事長は、新しい理事長に出資持分を時価で譲渡し、持分あり医療法人の財産権を譲渡する形になります。
また、実務的にも出資持分の譲渡は行われており、法人からの持分払い戻しではないことから、配当禁止規定にも抵触しないと考えられます。
ただ、この場合、医療法人は事業承継を行う前に、後継者に社員の身分を獲得しておかなければいけません。

医療法人が事業承継を行う際の出資持分譲渡におけるルール②退社して医療法人を承継する場合

持分あり医療法人における、社員がその資格を失う理由としては、除名、死亡、退社が挙げられます。
また、社員の資格を喪失した者は、その出資額において、払い戻しを請求することができるとされています。
よって、医療法人の出資を持つ社員が退社して事業承継を行う場合、その出資額に応じて払い戻し(時価)を受けることになります。
ちなみに、社員の退社によって、出資持分が時価で払い戻された場合、当初の出資金額を超える部分は“法人から社員その他の出資者の退社もしくは脱退による持分の払い戻し”に該当するため、総合課税となります。

まとめ

ここまで、持分あり医療法人が事業承継を行う際の出資持分譲渡におけるルールについて解説しましたが、理解していただけましたか?
何度も言うように、持分あり医療法人における出資持分の譲渡に関しては、医療法等に明確なルールが存在しません。
そのため、上記のような社員間の出資持分譲渡に関しても、定款に反しない限り許されるものとして、覚えておくべきでしょう。


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