クリニック経営の理想~人件費率20%は妥当な数字なの?~


クリニック経営において、目標となる人件費率の数値があります。
よく、人件費率を20%にするのが理想だと言われ、無理やり計算している経営者はいませんか?
しかし、20%は現実に実現できる数字なのかどうか、開業前だと中々分かりにくいでしょう。
今回は、数値の妥当性について検討したいと思います。

目次

クリニックの人件費率のカラクリ

クリニック経営の肝となる人件費率ですが、近年は高い数値を叩き出しているクリニックも珍しくありません。
「あのクリニックができているなら自分も!」と考えるのは、当然のことです。
しかし、安直に数値だけを見て、自分のクリニックに取り入れてはいけません。

ここで大切なのは、人件費率が安定して経営に組み込まれているかどうかです。
実は、開業当初は調子が良く、人件費率の割合が良かったとしても、どんどん低下していくことがほとんどなのです。
要するに、対象としているクリニックの良い状態の時しか見ていませんから、良く見えるのは当たり前なのです。

従って、開業してから3カ月、1年目、2年目といった長期的なスパンで確認する必要があることを覚えておいて下さい。
たった1カ月の人件費率が良かったからと言って、簡単に安心はできません。

クリニックによって適正な人件費率は違う

クリニックによって適正な人件費率は違うため、全てのクリニックで同じように考えていけません。
例えば、自由診療と保険診療、どちらをメインにするのかによっても、目安となる数値が変わってくるのです。
これらは、そもそもの利益計算が違ってきますから、同じ土俵で扱っていけません。

むしろ、診療の形態やクリニックの特徴によって、左右されると考えるべきです。
例えば、子どもへの対応に重きを置いたクリニックの場合、必要な人員が変わってきます。
大人専門ならば少人数で回せる業務でも、子どもならば人数が少し必要になることが出てくるからです。

そうなると、同じ診療科だからと言って、一律の数値を目標にするのは厳しいでしょう。
ですので、自分のクリニックの特徴を踏まえた上で、ベストな数値設定を考えることが大切になるのです。
どうしても、良いクリニックの例を参考にしたいと思いがちですが、実際はそうではありません。

現状のクリニック経営から、どう数値のバランスを取っていくのか。
このことを考えて行動するのが、人件費率をアップさせる近道になります。

まとめ

クリニックの人件費率を考える場合、数値の情報だけに捉われてはいけません。
仮に成功したクリニックであっても、そこでの対応や考え方がマッチしていたために実現できたのです。
従って、同じような手法を取り入れたとしても、全く同じになるとは言えません。
そのため、成功事例はあくまでも参考として捉えて、どうやって自分のクリニックに取り入れると良いのかを考えるべきです。


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