勤務医とは異なり、開業医は経営者です。勤務医のときより申告するもの、納付する税金が増えてきます。病院を経営するうえで、納付が避けられない税金のひとつに「事業税」があります。
目次
事業税とは
事業税は、事業を行う個人または法人に対して課税される税金です。事務所など事業の拠点のある地域の都道府県から課される地方税となります。なお、個人なら「個人事業税」、法人なら「法人事業税」を納付します。
個人事業税の業種区分と税率
個人事業主の場合、事業の種目によって区分や税率が異なります。
第1種事業(37業種)税率5%
物品販売業、運送取扱業、料理店業、遊覧所業、保険業、船舶ていけい場業、飲食店業、商品取引業、金銭貸付業、倉庫業、周旋業、不動産売買業、物品貸付業、駐車場業、代理業、広告業、不動産貸付業、請負業、仲立業、興信所業、製造業、印刷業、問屋業、案内業、電気供給業、出版業、両替業、冠婚葬祭業、土石採取業、写真業、公衆浴場業(むし風呂等)、電気通信事業、席貸業、演劇興行業、運送業、旅館業、遊技場業
第2種事業(3業種)税率4%
畜産業、水産業、薪炭製造業
第3種事業(30業種)
税率5%
医業 公証人業、設計監督者業、公衆浴場業(銭湯)、歯科医業、弁理士業、不動産鑑定業、歯科衛生士業、薬剤師業、税理士業、デザイン業、歯科技工士業、獣医業、公認会計士業、諸芸師匠業、測量士業、弁護士業、計理士業、理容業、土地家屋調査士業、司法書士業、社会保険労務士業、美容業、海事代理士業、行政書士業、コンサルタント業、クリーニング業、印刷製版業
税率3%
あんま・マッサージ又は指圧・はり・きゅう・柔道整復
その他の医業に類する事業
個人事業税の計算
前述のとおり、クリニックの場合の税率は5%です(※都道府県によって異なることがあります)。
個人事業税は「(総収入-経費-各種控除)×5%)」という式で求められます。
控除については、年間290万円の「事業主控除」と「社会保険診療所得の特例」が適用できます。社会保険診療所得の特例は、医業の個人事業税に関して社会保険診療に係わる収入や必要経費を控除できる特例です。
法人税の税率
医療法人には軽減税率が適用されます。その税率は所得が400万円以下の場合で5%、400万円超で6.6%です。一般の法人では、400万円以下5%、400万円超で7.3%となります。また、800万円を超えると9.6%になりますから、軽減税率の適用による税金の差はかなり大きいといえるでしょう。