クリニック開業は診療によって収益を出すまでの繋ぎが必要です。資金が無いまま開始することは不可能です。ただし、資金調達を行えたとしても、それを日々の診療による収益で返済を行うことができない状態に陥ってしまうと、診療を継続することができないというリスクへと発展します。だからこそ、資金を集める段階で将来的な見通しを明確化することが求められるのでしょう。
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■資金調達のリスクを知る
開業資金の調達は、安定的な利益を生まなければ返済が難しくなってしまうというリスクが存在します。経営が立ち行かないようなことが無いよう、ゆとりを持って融資の検討を行ってもらうのも一つの方法です。でも、健全な経営を行うのであれば、借入は少ないに越したことはありません。
資金調達が実現すると一気にクリニック運営のためのお金が受け取れますが、それは借り入れたものであって、これからの診療で返済していかなければなりません。先行投資をキャッシュで行うのが難しいからこそ、資金調達によって穴埋めをするはずです。借りたものはきちんと返す当てが固まっていなければ、経営は暗礁に乗り上げてしまいます。
■収益の見込みを作るのが説得力を高める
収益のシミュレーションを考えることで、どれくらいの資金を調達できるかが決まります。それまでの業績や信用情報を加味して融資額が決定するため、開業に必要な資金に到達するかがわからなければ、本格的にオープンの準備は始められません。
収益の見込みを考えるには来院する患者数の見通しを付ける必要があります。1時間あたりに対応できる人数は限られているでしょうから、最大でどれくらいの受け入れができるかを考えなければなりません。それが1日の診療実績にも繋がり、資金調達後に返済するべきリスクを含めた運用が明確になります。
■黒字を生み出すリサーチ力が必要
来院患者数がどれくらいあれば黒字になるかを組み立てておくことは、診療の目標を立てる上でも重要です。黒字ラインを見極めておくと、患者数や診療単価を伸ばすために何をしなければならないかが見えてきます。
周辺のリサーチは競合する医療機関の存在を確認するだけでなく、住人の年齢分布やアクセスの良し悪しなど、あらゆる情報を踏まえて立地の検討を行うべき。十分にリサーチを行って開業を果たしたところほど、資金調達後に返済できない事態を迎えたというリスクを低くできます。黒字経営を心掛けるのであれば、収益として換算できる最低ラインは把握しなければなりません。