病院開業における資金調達法と、リスク対策


病院を開業するにあたり、土地代や医療機器、運転資金を含めた資金が必要になることは言うまでもありません。また、開業前に資金の調達法や運営方法をしっかりと把握しておかないと、開業後に資金が枯渇するなどのリスクが高まってしまいます。そこで今回は、病院開業における費用の相場と資金調達法、リスクとその対策についてお話しします。

目次

1、 病院開業に必要な費用と、資金調達法

病院を開業する際、内装費・土地代・医療機器・敷金、礼金・仲介手数料などに加え、医師会への入会や広告宣伝費、消耗品への費用が必要になります。また、開業後の運転資金も欠かせません。

合計費用は診療科目によって異なりますが、一般的には

・小児科:4,000万円前後
・整形外科:5,500万円前後
・耳鼻科:5,500万円前後
・皮膚科:2,000万円前後
・眼科:7,000万円前後
・精神科・心療内科:1,400万円前後

という金額が相場となっています。

これだけの資金を調達するための方法としては、

・自己資金
・親族による援助
・民間銀行による融資
・福祉医療機構、医師信用組合による間接融資

などの選択肢があります。

2、 すべて自己資金で開業するのはリスクが高い

数千万単位の資金が必要になる病院開業に対し、自己資金から融資、間接融資までとさまざまな調達法があります。少しでも融資を避けるためにすべて自己資金で開業するケースも少なくありませんが、業績の見通しが立たない状態での自己資金開業は非常にリスクが高いと言えます。

開業の際に自己資金を全額投入してしまうと、患者数の伸び悩みなどのトラブルに見舞われた場合に対応が難しくなります。経営不振の状態で融資や間接金融を受けられるとは限らないので、最悪の場合途中で資金が枯渇してしまうこともあります。

3、融資制度を効率的に利用し、順調な病院経営を目指すのが理想

このようなリスクを避けるためには、

・自己資金は総資金の20%程度にとどめる
・制度融資を利用する

という手段が有効です。自己資金は万が一経営不振に陥ったときのために残し、それ以外は融資から資金調達したほうが結果的に資金枯渇のリスクを抑えられます。金融機関や自治体からの融資、医療福祉機構による間接融資を効率的に利用し、順調な経営ができるような準備を整えましょう。

ただし、これらの機関から融資を受けるには経営計画書の提出が必要になります。どのような方針で経営し、それに対してどの程度の資金が必要になるのかを明確に計算し、返済能力に問題がないことを金融機関や組織に示す必要があります。

医師独自での対応が難しい場合は、税理士などのプロのサポートを得ながら計画書作成をするのがベストです。

病院開業に向けての資金調達は、開業医であれば誰しも通る道です。この段階で開業後の明暗が分かれていくこともあることから、事前に明確な計画を立てることが必要です。一般的な相場や必要な資金を確認し、安全な返済計画を立ててから資金調達に臨みましょう。

<参照URL>
※1 税理士法人アフェックス、”上手な資金調達と活用方法の仕方”
http://afexs.co.jp/new/capital.html
※2 医師開業 医院開業・クリニック開業、” 開業資金・診療報酬と開業のポイント”
https://www.doctorsupportnet.jp/kamoku/


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