クリニックにおける診療には、保険診療と自費診療の2種類が存在します。
美容クリニックを経営する方の中には、自院における自費診療を増やすか否かで迷っているという方もいるでしょう。
ここからは、増やすことによるメリットとデメリットについて、それぞれ解説していきたいと思います。
目次
自費診療の概要
自費診療とは、公的医療保険が適用されない診療をいい、保険診療とは対になるものです。
美容クリニックや歯科クリニックなどでは、自費診療が提供されるケースが多いですが、全体の診療のうちどれくらいの割合を占めるかについては、クリニックによって異なります。
では、自費診療の割合を増やすことで、クリニックにはどのようなメリットやデメリットが生まれるのでしょうか?
自費診療を増やすことのメリット
美容クリニックにおいて自費診療を増やすことのメリットは、なんといっても顧客単価が上がることです。
なぜなら、自費診療の金額については、クリニックが自由に設定することができるからです。
顧客単価が上昇すれば、当然売上は増加しますし、仮に患者さん数が少なかったとしても、ある程度の利益を上げることが可能です。
また、自費診療を増やすことで、1人の患者さんにかけられる時間が長くなり、こちらは患者満足度のアップにもつながります。
その他でいうと、美容クリニックの先生が提供したい治療を提供しやすくなるというのも、自費診療を増やすことのメリットです。
さまざまな経験を積み、知識と技術を蓄えた先生にとって、保険診療の範囲内でしか診療ができないのは、少々物足りなく感じるかもしれません。
自費診療であれば、このような枠にとらわれることなく、これまで学んできた知識、技術を存分に発揮し、充実した日々を送ることができます。
自費診療を増やすことのデメリット
一方で、美容クリニックが自費診療を増やすことには、いくつかのデメリットも存在します。
まず、自費診療の難しいところは、実際売上をアップさせるために、高度な広告戦略が必要になるという点です。
自費診療は、保険診療に比べて高額なケースが多く、広告記載の治療における認識がない方に対し、いきなり受診を迫るには壁が高いという特徴があります。
よって、保険診療と同じような集客戦略では、なかなか患者さん数が増加せず、売上にもつながりません。
例えば、自費診療に関する写真を掲載する場合は、以下のようなものを掲載し、閲覧した方に具体的なイメージを持ってもらう必要があります。
・先生が診療を行っている写真
・治療部分の写真
・治療後、患者さんが健康的な生活を送っている写真 など
もちろん、上記の通り広告が高度であるため、保険診療が中心のクリニックと比較すると、どうしても広告費はかかりやすくなります。
その他、売上が安定するまでにはしばらく時間がかかることが考えられるため、移行期間の経営状況をカバーすべく、事前にある程度の資金を蓄えておかなければいけません。
また、自費診療を増やすことで、これまで来院していた保険診療の患者さんが離れてしまう可能性もあります。
クリニックには、必ずと言って良いほど頻繁に足を運んでくれる患者さんが存在します。
しかし、よほど「この先生でなければダメ」と思ってくれている患者さんがいない限り、大幅に負担が増加する自費診療への移行を受け入れてくれないでしょう。
正直なところ、「保険診療が利用できるから来院している」という患者さんは多いため、こちらの壁をどのように超えるかが、自費診療増加におけるポイントとなります。
自費診療を増やす際のポイントについて
美容クリニックが自費診療を増やす場合には、外部のコンサル会社などに協力してもらい、戦略的に移行していくことをおすすめします。
具体的には、いきなり完全に自費診療に移行するのではなく、段階的に移行していくのがおすすめです。
例えば、特定の曜日における午後のみを自費診療にあてたり、スタッフは保険診療、先生は自費診療といったように担当を分けたりすれば、クリニックの経営を安定させつつ、自費診療を増やすことができます。
また、このような段階的な移行に成功すれば、クリニックの経営はより安定し、経済的な余裕も出てくるでしょう。
もちろん、経済的な余裕があれば、分院をオープンさせて経営規模を拡大するなど、選択肢はさらに広がります。
そして、自費診療の金額は、クリニックが自由に設定できますが、高すぎると患者さんを集めにくくなる原因となります。
一方で、安くしすぎると保険診療を減らす意味がなくなってしまうため、月の売上目標から逆算し、適切な価格を設定できるように心掛けましょう。
まとめ
ここまで、美容クリニックが自費診療を増やすことのメリット・デメリットを見てきましたが、いかがでしたでしょうか?
自費診療はクリニックの売上アップ、先生の充実感アップなどにつながるものですが、決して簡単に導入できるものではありません。
導入の際はコンサル会社などの力を借り、慎重に導入割合や価格などを設定していきまししょう。