美容クリニックにおける人材流出防止施策にはMVVがマスト


美容クリニックは、院長先生の技術や知名度、メニューの豊富さや安さなど、さまざまなポイントを患者さんにアピールする必要があります。
しかし、どれだけ強みを持っていても、やはり優秀な従業員の存在なくしては、うまく経営は回りません。
今回は、美容クリニックの人材流出防止施策になる“MVV”について解説します。

目次

MVVの概要

組織における“ミッション(Mission)”、“ビジョン(Vision)”、“バリュー(Value)”という3つの項目の頭文字を取ったものがMVVです。
ミッションはその組織が果たすべき使命、存在意義であり、ビジョンは組織の将来のありたい姿、バリューは組織が持つ共通の価値観を意味しています。
美容クリニックは、独自のミッションを達成するために、ビジョンを実現する必要があり、なおかつビジョン実現のための具体的な価値基準として、バリューを定めなければいけません。
一般企業においては、MVVが定められる機会も増加していますが、医療業界においては、法人・個人を問わず、まだまだ浸透していない傾向にあります。

なぜMVVは人材流出防止施策になるのか?

美容クリニックのMVVは、“従業員エンゲージメント”の向上につながります。
従業員エンゲージメントとは、従業員が組織に貢献したいと思っている姿勢のことをいいます。
つまり、従業員エンゲージメントが高い従業員は、組織に対する貢献度や帰属意識が高いということです。
また、従業員エンゲージメントは、従業員が組織におけるMVVに共感していなければ生まれないと言われています。
各個人がMVVに共感、納得することで、従業員は団結して行動することができ、こちらは当然人材流出防止につながります。
ちなみに、美容クリニックのMVVは、採用活動にも一定の効果を発揮することが期待できます。
美容クリニックが採用活動を行う際は、求人募集の欄に人材要件を記載します。
人材要件とは、簡単にいうと「どのような従業員に来てほしいのか」ということを指していますが、こちらの内容はできる限り細かいものでないといけません。
「とにかく優秀な従業員に来てほしい」ということだけ求人募集の欄で伝えても、なかなか採用活動はうまくいかないものです。
一方、MVVを確立した状態で採用活動を実施すれば、MVVに沿った人材要件を具体的に設定することができ、高いエンゲージメントが期待できる人材を採用することが可能です。

MVVにおけるその他のメリット

美容クリニックがMVVを定めるその他のメリットには、主に以下のことが挙げられます。

・組織の想いや姿勢を示すことができる
・美容クリニック全体の指針になる

組織の想いや姿勢を示すことができる

美容クリニックのMVVは、ホームページなどで組織としての想い、姿勢として示すことが可能です。
また、こちらは熱意や透明性などを外部に発信することであるため、最終的には美容クリニックとしての評価の向上、集患などにつながることも十分考えられます。

美容クリニック全体の指針になる

美容クリニックだけに限らず、組織における業務は日々意思決定の連続です。
MVVは、このような意思決定の際の指針となり、判断軸や価値観として機能します。
近年は、社会全体にVUCAの風潮があり、こちらは将来の予測が困難な状況を意味しています。
しかし、たとえそのような時代であっても、MVVをしっかり定め、院内全体に浸透させておけば、院長先生の納得できる意思決定を従業員全体で行うことができます。

MVVを定める際のポイント

美容クリニックがMVVを定める際には、一般的に院長先生とすべての従業員を交えたディスカッション形式が採用されます。
このとき押さえておきたいポイントとしては、まず言葉の定義を明確にし、共有することです。
少しでも認識にズレが生じると、ボンヤリとしたMVVが出来上がってしまい、前述したような効果を発揮しなくなる可能性があります。
また、MVVを定める際のディスカッションでは、さまざまな立場、観点から意見を出し合うことが大切です。
もちろん、絶対に譲れない価値観がある場合、従業員は立場を気にせず主張する必要があります。
ちなみに、美容クリニックがMVVを定めるタイミングについては、開業後でも構いませんが、最初から目指すべき方向性が明確になっていれば、問題が起こっても改善しやすいというメリットがあるため、できれば開業時に定めておきましょう。
特に、それほど事業規模の大きくない美容クリニックでは、事業戦略や経営方針を短期的に見直すことも多いため、譲れない方向性を持つことは重要です。
ただし、ディスカッションには人数が必要であるため、従業員が1人、2人しか揃っていない場合は、もう少し先送りにしても構いません。

まとめ

ここまで、美容クリニックが人材流出防止施策として定めるべきMVVについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
MVVは、優秀な人材を残すことだけでなく、新たな逸材の獲得、経営の効率化や美容クリニックの評価アップ、集患数増加にもつながるものです。
よって、いまだに未設定の美容クリニックは、じっくり時間をかけてでも、質の高いMVVを定めなければいけません。


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