美容クリニックの経営者はBSCを意識しておこう


美容クリニックを含む医療機関では、日々集患数の増加や業績アップを図るために、何をどのように改善すべきなのか考えなければいけません。
このとき、導入すべきツールの1つに“BSC(バランススコアカード)”が挙げられます。
ここからは、美容クリニック経営者の方が知っておくべきBSCについて、詳しく解説します。

目次

BSCとは?

BSCは、美容クリニックの理念や行動規範、長期計画を達成するための戦略について、より具体的な業務フローに落とし込むためのツールです。
具体的には、以下のような視点からスコアカード(数値表)に数値を入力し、目指すべきミッションやビジョンを達成するには、“誰が”、“何を”、“いつまでに”、“どのように”行動する必要があるかを明確にするものです。

・継続して美容クリニックが成長するための利益が確保できているか
・患者さんにとって満足のいく美容クリニックであるか
・効率的な業務プロセスが構築されているか
・従業員のモチベーション、連携はどうか
・医療行為の質は保証されているか など

ちなみに、BSCは美容クリニックの外部における人物がスコアリングするのではなく、院内事情を把握し、実際の業務が見えている内部の医師や従業員が参加した上で、スコアをつけることに意義があります。

BSCを採用することで生まれるメリット

美容クリニックがBSCを採用することで、経営における問題点を見出し、売上や収益の向上につなげることができます。
また、患者さんの視点から、有益なサービスが提供できているか客観的に判断すること、美容クリニック側の視点から、患者満足度と収益のバランスを把握することで、現場レベルでの対策や方向性を考えることも可能です。
そして、BSCの採用は、生産性の向上にもつながります。
具体的には、業務フローやコストなど、それぞれの関係性を把握することで、具体的に改善しなければいけない業務を把握し、生産性アップにつなげることができる可能性があります。
ちなみに、BSCは基本的に美容クリニックの売上や収益向上、患者満足度向上のための戦略づくりに活用されますが、医師や従業員がこちらの財務視点に触れることで、経営戦略により積極的に貢献できる人材が育成されます。
つまり、美容クリニックにおいて、売上や患者満足度向上における意識の高い従業員が増加するということです。

BSC実行の流れについて

美容クリニックにおいてBSCを導入することで、売上や収益、患者満足度や生産性の向上につながるということは、理解いただけたかと思います。
では、続いて美容クリニックがBSCを実行する具体的な流れを見ていきましょう。
実行までの主な手順は以下の通りです。

・ミッション、ビジョン、バリューの設定
・4つの要素からKGIを設定
・KPIの設定
・具体的な行動計画の作成

ミッション、ビジョン、バリューの設定

美容クリニックはまず、BSCの評価基準となるミッション、ビジョン、バリューを設定します。
ミッションとは、美容クリニックにおける使命を指し、こちらを達成するための行動指針、戦略がビジョンです。
また、ミッション達成の価値観をバリューといいます。
つまり、美容クリニックとして何を最重要視するのか、それを実現するためにどう行動するのか、どのような価値をもたらすのかを決定しなければいけないということです。

4つの要素からKGIを設定

ミッションやビジョン、バリューを設定した後は、その内容を踏まえて以下の4要素を決定します。

・財務
・顧客価値
・業務プロセス
・学習、育成

これらは、いわばミッションやビジョンなどをより具体的に表す要素です。
また、上記の要素から、クリニックにおけるKGI(重要目標達成指標)というビジネスの視点で見たゴールを設定します。
ちなみに、KGIを設定するためには、クリニックの経営を成功させるための重要な要因であるKSF(重要成功要因)を探り出すことも重要です。

KPIの設定

KPI(重要業績評価指標)は、前述したKGIを達成するための中間目標です。
例えば、美容クリニックにおけるKGIが収益だとすると、KPIは患者数などを指すことになります。
また、KPIは財務、顧客価値、業務プロセス、学習・育成という4つの要素において、それぞれ設定すべきです。
財務でいうと、“どのように支出を減らすべきか”がKPIに該当します。

具体的な行動計画の作成

最後に、KPIを達成するため、美容クリニックの医師や従業員がどのように行動すべきなのか、具体的な計画を立てます。
作成したロードマップに沿って、いつまでにどのような行動を継続し、各要素におけるKPIを達成するのかについて、現実的かつ論理的に考えます。
ここまで行ってはじめて、美容クリニックはBSCを実行したと言えます。

まとめ

ここまで、美容クリニック経営者の方が意識すべきBSCについて詳しく解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
これまで特にフレームワークを導入していなかった美容クリニックが、一からBSCを実行するのは決して簡単ではありません。
しかし、必要な手順やそれぞれのポイントを1つずつ押さえながら導入すれば、自院にさまざまなメリットをもたらすことができます。


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