美容クリニックを含む医療機関では、さまざまな悩みを抱える患者さんと触れ合うことになります。
また、このときにクリニック側が意識したいのが、“接客”または“接遇”です。
ここからは、美容クリニック経営者の方が把握するべき、接客と接遇の違いについて解説したいと思います。
目次
接客の概要
接客は、文字通り顧客に接することであり、美容クリニックおいては当然患者さんが対象となります。
具体的には、マナーやコミュニケーションなど、患者さんと関わる直接的なサービスのことを表しています。
また、接客は美容クリニックなどの医療機関だけでなく、顧客との関わりがあるすべての業態に存在します。
接遇の概要
接遇は、患者さんの不安や苦しみなどを想像し、気持ちに寄り添えるような対応のことで、“医療接遇”と呼ばれることもあります。
よりわかりやすくいうと、人をもてなすことが接遇であり、“遇”という字は“もてなす”と読むことができます。
美容クリニックなどの医療機関では、患者さんに施術の安全性を理解してもらわなければいけませんが、そのためには接遇が必要不可欠です。
具体的には、最良かつ最適な医療を提供することで安心してもらい、親切かつ親身な接遇で信頼を得ることで、患者様にとって満足度の高い安全な美容クリニックが出来上がります。
接客と接遇の具体的な違いについて
前述した説明だけ聞いても、接客と接遇の具体的な違いについて、イマイチハッキリしないという方もいるでしょう。
次は、それぞれの細かい違いをもう少し詳しく見ていきます。
あいさつ
接客におけるあいさつは、どれだけマナーを守ることができているかが重要になります。
例えば、以下のマナーをきちんと守ってあいさつができていれば、それは“良い接客”ということになります。
・背筋が伸びている
・お辞儀の角度は30度
・左手を上に前で手を組む
一方、接遇は患者さんの不安や苦しみに寄り添うものであるため、上記のような固いあいさつではなく、ナチュラルかつ威圧感を与えないようなあいさつをすることが求められます。
身だしなみ
接客においては、顧客に不快感を与えない頭髪や服装をすることで、身だしなみを整えます。
これに対し接遇では、清潔感だけでなく、リスク管理や医療安全につながる見た目であるかどうかも問われることになります。
例えば、健康的でしっかりしていそうな見た目であったり、爪を短く整えていたりといった点も、接遇においては身だしなみの概念に含まれます。
言葉遣い、表情
接客では、常に正しい敬語を用い、明るくハキハキした言葉遣いや表情で顧客と接することが求められます。
一方、接遇における正しい言葉遣いや表情は、より臨機応変に使い分けなければいけません。
つまり、常に完璧な敬語を用いたり、明るい表情をキープしたりする必要はないということです。
患者さんとの関係性を考慮したり、患者さんの状態をチェックしたりしながら、柔らかい言葉遣いをすること、テンションを合わせることが、接遇においては重要なことです。
態度
接客には、前述したあいさつのようなマナー、マニュアルが数多く存在します。
また、接客を行う際の態度は、マナーやマニュアルが重視される傾向にありますが、接遇はそうではありません。
美容クリニック経営者の方、あるいはそこで勤務する従業員の方が、主体的に考えて行動することで、質の高い接遇を提供できます。
受付対応
接客において正しいとされる受付対応は、従業員側が受け身になるものです。
具体的には、顧客からの質問に対し、間違いのない情報を正しく伝えるなどして、受け答えをするというイメージです。
一方、接遇における受付対応は、より従業員側に積極性が求められます。
つまり、質問されたことに対して答えるだけでなく、患者様が必要な情報を前もって予測し、伝えるような心遣いが必要だということです。
例えば、待合室の状況を把握し、診療までの時間を伝えるといった行為は、接遇における非常に良い受付対応となります。
美容クリニックで正しい接遇を徹底するメリット
接遇は接客よりもワンランク上の対応であり、美容クリニックが正しい接遇を徹底することで、当然増患や増益の可能性はアップします。
どれだけ最新の設備、施術を取り揃えている美容クリニックであっても、経営者の方や従業員自体に魅力がなければ、なかなかリピート率は上昇しません。
また、正しい接遇を徹底することで、従業員の労働時間も期待できます。
接遇がきちんとできているということは、患者さんとの信頼関係の構築、トラブル対応に多くの時間を使用する必要がないということであり、このような業務を減らすことも、接遇の重要な役割です。
まとめ
ここまで、美容クリニック経営者の方が把握するべき、接客と接遇の違いについて具体的に解説しました。
美容クリニック経営者の方は、接客により主体性を加え、患者さんの立場になって接することが接遇だと覚えておきましょう。
また、自身の経営する美容クリニックにおいて、適切な接遇ができているかを改めて確認することも大切です。