クリニックにおける院内デザインの基本は、清潔感を出すことや、患者様の安全を確保することなどです。
また、患者満足度を向上させるのであれば、診療科別に異なるポイントも押さえておく必要があります。
ここからは、代表的な診療科における院内デザインのポイントを見て行きたいと思います。
目次
内科
内科は、数ある診療科の中でも、特に高齢者の患者様が多いです。
そのため、院内は入口や内装を広めに設計し、十分に配慮しなければいけません。
高齢者の方の中には、車椅子や杖を使用している方も多く、院内が狭いと通路を通るのが大変になり、患者満足度の低下にもつながりかねません。
また、内科は熱などの症状が見られる患者様も多いため、ゆったりと過ごせる待合室を設ける必要もあります。
外科
外科の院内デザインにおいて意識すべきポイントは、基本的には内科とあまり変わりません。
強いて言えば、外科の方が医療機器を多く扱うため、配線が複雑にならないように工夫することが大切です。
特に、患者様が通る部分に配線が通っていると、非常に見栄えが悪く、つまずいてしまう方も出てくる可能性があり、こちらはクリニックの印象や患者満足度が大きく低下することにつながります。
小児科
小児科のクリニックには、子どもの患者様が多く訪れるため、恐怖心を与えないよう、ポップで楽しい雰囲気づくりをすることが大切です。
また、小児科には同伴者の親御さんも訪れる機会が多く、このような方々は子どもの院内感染を気にする方も数多くいます。
そのため、症状が認められる患者様を隔離できるよう、待合室を別途用意するのが理想的です。
ちなみに、近年の小児科では、コロナ感染拡大の流れから、気流をコントロールし、院内感染を防ぐ空調システムを採用するケースも増えています。
歯科
歯科は他の診療科に比べて、トータルの部屋数が少ない傾向にあります。
しかし、診察室が他の患者様と共用になることも多く、こちらはあまり話の内容を聞かれたくない患者様にとっては、居心地の悪い空間だと言えます。
そのため、他院との差別化や患者満足度の向上を図るのであれば、すべての診察室を個室にすることをおすすめします。
眼科
一般診療をメインに行う眼科の場合、視力検査を行う場所の他、暗い診察室、明るい診察室など、診察の順序によって迷うことのない動線が必要です。
また、眼科には目が不自由な患者様も多く来院するため、患者満足度向上を目指すのであれば、バリアフリーやユニバーサルデザインを意識した内装にするのがポイントです。
なるべく階数のある移動や、入り組んだ動線は避けたいところです。
ちなみに、眼科に訪れる患者様の年齢層は幅広いため、院内におけるアメニティに対する方向性は、より公共施設的なスタンスが必要です。
例えば、車椅子対応のトイレや、化粧室内のベビーシートは必須であり、各検査室やトイレへの案内サインは、白内障の患者様や眼帯使用の患者様を想定し、誰にでも容易に認識できるようにするのが重要です。
美容外科
美容外科の院内デザインでは、高級感を演出することが大切です。
例えば、原色よりパステル寄りの色味を心掛けたり、装飾やインテリアを工夫したりすることで、多くの患者様が好むオシャレで高級感、安心感のある空間になります。
また、美容外科の場合、デリケートな悩みを抱える方が来院しやすいため、患者様のプライバシーを守るために、待合室で患者様同士目が合わないように工夫したり、複数の処置室を用意したりするのも重要です。
整形外科
整形外科には、老若男女問わず、足腰が悪く、車椅子や松葉杖で通院する患者様が多いです。
そのため、内科と同じように、バリアフリーに対応しているか、通路は広めに取ってあるかという点が大事になってきます。
また、床が滑りやすいと感じる場合は、床材も滑りにくいものに変更することで、患者満足度の向上につながります。
ちなみに、天然ゴムや合成ゴムを原料としたラバータイルは、厚手で弾力があり、水に濡れても滑りにくいというメリットがあります。
産婦人科
産婦人科は、定期的に通院する必要がある診療科であるため、事前に下調べなどでチェックされやすい傾向にあります。
そのため、内装はもちろん、外観も好印象でなければ、そもそも選択肢から除外されてしまう可能性があります。
また、産婦人科は女性の患者様が圧倒的に多いため、内装は淡い色を基調とした優しい雰囲気がおすすめです。
子ども連れの方も多いため、キッズスペースも設けることができれば、さらに患者満足度の向上が期待できます。
まとめ
ここまで、患者満足度を向上させるクリニックの院内デザインにおけるポイントを見てきましたが、いかがでしたでしょうか?
診療科別に細かい配慮をすることで、多くの患者様に満足してもらうことができ、集患数も必然的にアップします。
また、より集患数や患者満足度をアップさせたい場合には、外観デザインや診療メニュー、費用や従業員における接遇などにも力を入れる必要があります。