持分なし移行によるメリット・デメリットを解説します


平成26年10 月1日より持分なし医療法人への移行計画の認定制度が開始となっています。これは平成29年9月30日までに厚生労働省より認定を受けて、認定を受けてから3年以内に持分なしへ移行する必要があります。持分なしへ移行した後は、持分ありへ戻れないため注意が必要です。

今回は持分なしへ移行するメリット・デメリットを解説していきます。

目次

○持分に関するメリット・デメリット

●メリット
①出資持分について、相続税が課税されなくなります。
②出資持分についてのリスクが軽減されることにより、病院運営の不安がなくなり安定して医療サービスを提供することができます。
③出資者から持分の払い戻し請求を受けることがなくなります。

●デメリット
①余剰金があっても出資持分払い戻し請求権がなくなるため、退社時に請求できなくなります。
②法人の解散時、残余財産は残余財産分配請求権がなくなるため、国などに帰属してしまいます。

○移行に関するメリット・デメリット

●メリット
①出資資金評価が低い場合、医療法人が贈与税を払って移行することも可能です。
②役員などの同族要件に社員は含まれないので、社員総会運営を親族社員で行なうことができます。

●デメリット
①移行に関して、相続税・贈与税の負担が不当に減少する場合には、医療法人を個人とみなして贈与税が課税されてしまいます。
②理事など役員は親族等の割合が1/3以下である必要があるため、理事会の運営が難しくなるとなる可能性があります。

○法人税についてのメリット・デメリット

●メリット
①持分ありの時に出資金額が1億円を超える金額であった場合には、持分なしへ移行することにより中小法人の各種優遇税制などを適用することができる場合があります。
②法人市県民税均等割額が低額で済む場合があります。

●デメリット
① 出資金がなくなるため、寄附金の損金算入限度額が下がってしまいます。

○その他のメリット・デメリット

●メリット
①税率などの優遇が受けられる社会医療法人(収益事業のみ課税される)や、特定医療法人まで移行することができます。
② 持分あり同士の合併では、持分ありのままで継続することができます。

●デメリット
①社会医療法人や特定医療法人に移行するためにはさまざま条件があり、これらの条件を通過する必要があります。
②持分ありと持分なしが合併する場合には、持分ありも持分なしへ変更になってしまいます。
③減税対策として、今まで持分を生前贈与して贈与税を払ってきたことの効果がなくなってしまいます。


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