【2017年制度改正】医療法人の持分なし移行を解説


2017年10月より持分なし医療法人から持分あり医療法人への移行に関する制度が改正されているのをご存知ですか?医療法人の持分に関する問題と、どのように改正が実施されたのかご紹介します。

目次

医療法人の持分問題

平成19年3月31日よりも前に設立された医療法人で、設立時に社員などが出資をして医療法人を設立した場合があります。その場合は定款で持分に関しての条項が定められています。社員の資格を喪失した者又はそれを相続する権利のある者に関して、出資額に応じた金額の払い戻しを請求することができるといった明文がなされてあれば、持分を持っていた社員が退職や死亡などで資格を失った際に医療法人に対して高額な支払いを請求される可能性があります。これが経営をする上で致命的な金額となれば地域医療としても貴重な社会資源を失うこととなってしまいます。そこで厚生労働省は持分あり医療法人から「持分なし医療法人への移行を推進してきました。これは一定の要件を満たすことができれば、厚生労働大臣が認定した持分あり医療法人(認定医療法人といいます)に関して、持分なし法人に移行した場合には減税措置をとるという制度を設けました。従来のこの制度は2017年9月で終わることや一部のケースでは減税とならない場合もあるという問題もありました。これを受けて、2017年10月より新しい制度がスタートしました。

新しい認定医療法人制度

2017年10月より認定要件の緩和を盛り込んだ認定医療法人制度の改正が行なわれました。これは2020年9月末までが期間となります。すなわち、認定医療法人制度が3年間延長したことになります。
厚生労働省が認定した持分あり医療法人、つまり認定医療法人の要件は現在の移行計画期間が3年以内に行なわれていること、社員総会で議決すること、移行計画が適正かつ適切であること、持分なし医療法人へ移行後6年間において認定要件を維持していることを確認することが要件でしたが、改正後では自由診療が少ないこと、法人の関係者に利益供与をしないこと、役員報酬が高額にならない定めがあることが追加されています。これらは従来の制度に比べて認定要件が厳しくなっているため注意が必要です。
ただし、贈与税が課税対象とならない要件において、達成することが難しい役員の人数に関する規定が緩和されています。
このように、持分なし医療法人への移行をするには認定医療法人の要件を確認する必要があるため、注意しておきましょう。


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