内科のクリニックが目指すべき平均売上と経営戦略について


内科のクリニックを経営するにあたって、平均患者数は必ず意識しなければいけません。
また、患者様を平均以上集めることによって、必然的に内科のクリニックは平均売上を達成することができます。
ここからは、内科のクリニックが目指したい平均売上の金額、達成までの戦略などについて解説したいと思います。

目次

内科のクリニックが目指したい具体的な平均売上

厚生労働省が発表しているデータを参考にすることで、内科のクリニックが目指したい1ヶ月の平均売上が算出できます。
2017年6月における内科のクリニックの1ヶ月の平均患者数は、約562人となっています。
また、内科のクリニックにおける診療単価の平均は、約5,800円です。
診療単価の平均に1ヶ月の平均患者数をかけると、約326万円という金額が弾き出されます。
こちらの金額が、内科のクリニックが目指したい具体的な月の平均売上です。

年間の平均売上について

先ほど算出したのは、内科のクリニックが目指したい1ヶ月の平均売上です。
ただし、先ほどの数字は、あくまで内科のクリニックが忙しくない時期に目指したい平均売上に過ぎません。
なぜかと言うと、内科のクリニックにおいて6月というのは、1年の中であまり忙しい時期ではないためです。
そのため、先ほど算出した1ヶ月の平均売上を年間に換算すると、326万×12で約3,900万円ということになりますが、忙しい時期もあることを考えると、実際の年間の平均売上はもっと多いということになります。
ちなみに、厚生労働省が2017年に発表しているデータによると、内科のクリニックの年間の平均売上(外来収入)は約7,600万円です。

忙しい時期にどれだけ集患できるかが鍵

上記のデータを見ていただければわかるように、内科のクリニックは忙しくない時期の平均売上を達成したとしても、年間単位では平均売上を達成することができません。
そのため、インフルエンザが流行する時期など、内科に多くの患者が訪れる時期にどれだけ集患できるかが、年間の平均売上達成のポイントとなります。
また、忙しくない時期の平均売上を達成できないと、繁忙期に取り戻さなければいけないマイナス分が多くなってしまうため、しっかり戦略を立てる必要があります。

内科のクリニックを経営する際のポイント

内科のクリニックが前述した平均患者数や平均売上を達成するためには、まず基本的な経営のポイントを押さえておかなければいけません。
内科は数ある診療科目の中でも、群を抜いて守備範囲が広いです。
そのため、コンセプト作りが非常に重要となります。
地域包括ケアの中で、在宅医療に参入するクリニックは依然増加し続けています。
外来中心のクリニックの場合では、ファミリークリニックのように小児から高齢の患者様まで幅広く診るのか、成人や高齢の患者様に絞るのかを決定しなければいけません。
また、診療領域についても、複数科目を網羅的に診るのか、消化器や循環器、糖尿病など、特定の科目や疾患にターゲットを絞るのかを判断する必要があります。
このように、内科のクリニックは領域が広い分、コンセプトを明確にしていなければ、一体何が売りなのかが患者様に伝わりません。
もちろん、売りが伝わらなければ、平均患者数や平均売上を達成するのも難しくなります。

内科の専門領域における経営のポイント

先ほど解説したのは、内科のクリニック経営全般におけるポイントです。
以下のような専門領域においては、またそれぞれ別のポイントを押さえて経営しなければいけません。

・消化器内科
・呼吸器内科
・循環器内科
・内分泌糖尿病内科
・神経内科

1つずつ順番に見ていきましょう。

消化器内科

消化器内科は、内科の中でも比較的競争の激しい診療科目です。
ただし、経営が軌道に乗ってくれば、通常年間の平均売上は8,000万円~1億2,000万円程度になることが多く、医療法人化されるケースも多々あります。
また、消化器内科のクリニックが患者様から良い評判を得るためには、下部内視鏡検査のクオリティを上げる必要があります。
具体的には、難しい部位のポリープを取ることにより、可能な限り患者様が苦しくないよう、スムーズかつ短時間で挿入する技術が求められます。
もちろん、下部内視鏡検査に自信があっても、それをうまく宣伝しないことには、患者様の検査に対するマイナスのイメージを取り除くことはできません。
そのため、自院のホームページでは、徹底して検査のハードルを下げるような表記や配慮を心掛けましょう。

呼吸器内科

呼吸器内科のクリニックを経営するにあたって重要なキーワードは、“息切れ”と“喘息”です。
呼吸器内科は比較的広範囲の診療領域を持っていますが、患者様が呼吸器内科を検索する際のキーワードは、主にこちらの2つです。
このようなことを想定し、診診連携(しんしんれんけい)や病診連携を行い、必要に応じて他院を紹介することで、自院の評価がアップし、平均患者数や平均売上の達成につながることも考えられます。
その他、呼吸器内科では、発熱外来の時間帯を分けて設けることも検討しましょう。
また、自費のPCR検査は、都市部で高いニーズがあります。
現時点において、唾液によるPCR検査を行っている呼吸器内科クリニックにおいて、患者様が減少するという状況は考えにくいです。

循環器内科

循環器内科は、通常の患者様からすれば、何を診てもらえるのかわからない診療科目に該当します。
そのため、まずは認知してもらうための工夫に力を入れるべきです。
例えば、ホームページを作成する際は、検索してもらう際の一般的なトピックとして、“高血圧”、“不整脈”、“息切れ”があることを意識しましょう。
また、トップページでは、心臓と血管を中心に診療するクリニックではあるものの、生活習慣病も診療できることをアピールするのが重要です。
ちなみに、循環器内科は、一度ついた患者様が他のクリニックに流れにくいという強みを持っています。
しかし、患者様の定着にはそれなりの時間がかかるため、スタート時には間口を広げ、ファミリークリニックのような感覚で診療を行うのも1つの戦略です。

内分泌糖尿病内科

内分泌糖尿病内科は、管理栄養士と看護師の採用が経営において必要不可欠とされていますが、小手先の対応では採用増は見込めません。
そのため、まずはホームページの内容を充実させ、スマートフォン対応にするなど、閲覧者を増やす取り組みも実施すべきです。
また、内分泌糖尿病内科は、勤務医時代の病院やクリニックから外来患者様を連れていけない場合、最初の集患にかなり苦労するため、開業前に勤務先へ相談しておくことをおすすめします。

神経内科

神経内科のクリニック経営では、とにかく地域との連携作りに力を入れるべきです。
救急病院やリハビリ病院とクリニックの間で、うまく連携ができている地域はそう多くはなく、リハビリ病院の患者様が神経内科のクリニックに押し寄せているのが現状です。
そのため、病院との連携を築くことはもちろん、地域のケアマネージャーの方や在宅介護事務所等に連携を依頼し、患者様を紹介してもらえる関係作りが必要になってきます。

まとめ

ここまで、内科のクリニックが目指したい平均売上、達成までの具体的な経営戦略について解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
内科のクリニックの院長先生は、まず診療科目にあわせた経営戦略を把握する必要があります。
その上で、繁忙期の集患戦略を明確にし、年間の平均売上や平均患者数を達成できるよう、体制を見直すべきです。


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