皮膚科の平均患者数、開業時におけるポイントについて


これから皮膚科を開業しようとする方は、1日の平均患者数、年間の平均売上がどれくらいなのかを把握する必要があります。
また、開業するにあたってのポイントや注意点についても、前もって知っておかなければいけません。
今回は、これらの内容を詳しく解説したいと思います。

目次

皮膚科の平均患者数について

クリニックの平均患者数は、診療科目によって大きく異なります。
厚生労働省が発表している『平成26年 医療施設調査』のデータによると、皮膚科の平均患者数は1日およそ60.4人(月23日計算)となっています。
そのため、皮膚科を開業した後は、まず平均患者数60.4人という数字を達成することが1つの目標となるでしょう。
ちなみに、内科の平均患者数がおよそ35人、外科がおよそ45.4人であることを考えると、皮膚科の平均患者数は比較的多いことがわかります。

皮膚科の平均売上について

皮膚科における年間の平均売上は、先ほど解説した1日の平均患者数と、その他の数字を組み合わせて計算することで算出できます。
具体的には、1日の平均患者数60.4人×3,800円(平均診療単価)×年間診察日数で算出された数字が平均売上となります。
診療日数が月23日の場合、60.4×3,800×(23×12)=約6,335万円が年間平均売上の目安と考えて良いでしょう。

皮膚科開業時のポイント

皮膚科を開業する時点で、スムーズに平均患者数や平均売上を達成するための勝負は始まっています。
また、開業時には以下のポイントを押さえておきましょう。

・立地について
・ターゲットについて
・内装について
・照明について
・人材募集について
・マーケティングについて

立地について

まず開業する立地に関しては、早めに経営を軌道に乗せるため、なるべく人通りが多いエリア、周辺住民に存在を認知してもらいやすいエリアを選ぶべきです。
また、美容系の施術を多く提供する場合は、Webマーケティングでの集患割合が多くなるため、駅からのアクセス環境が良い立地を選ぶことも重要です。
このような立地で開業することは、仕事帰りや業務の間に立ち寄る患者さんを集めることにもつながります。
ちなみに、美容系がメインの皮膚科は、プライバシーの観点から、2階以上のテナントを利用することをおすすめします。

ターゲットについて

皮膚科は他の診療科目と比較した場合、老若男女さまざまな層の患者さんが訪れやすくなります。
そのため、ターゲットをある程度絞ることが、開業後スムーズに平均患者数、平均売上を達成できることに繋がります。
例えば、子どもの診療に自信がある場合、子どもを主なターゲットにして、付き添いで訪れる保護者の方に自由診療、または美容系の商品を勧めるといった戦略が効果的です。

内装について

皮膚科に訪れる患者さんは、当然何らかの皮膚疾患を抱えている方が多いため、入口を自動ドアにしたり、土足で入ることができるようにしたりと、院内の備品に極力触れずに済む工夫が必要です。
必要な広さについては、保険診療のみを行う皮膚科の場合、25~30坪程度あれば問題ありません。
ただし、美容系の施術も行う場合は、大きな機器を導入しなければいけないこともあり、50坪以上を要することも考えられます。
また、美容皮膚科でない場合でも、パウダールームは設置すべきであり、診察室や処置室には当然従業員が使用できる手洗い場も必要になります。
その他、皮膚科では治療の際に脱衣することも考えられるため、誤って開けてしまった場合でも大丈夫なよう、扉の内側にはカーテンをつけておくべきです。
ちなみに、美容系の施術に力を入れる場合は、患者さんの相談内容や診療内容が待合室に聞こえにくいよう、防音対策を施したり、BGMを大きめにしたりといった配慮も必要です。

照明について

皮膚科の照明は、待合室とパウダールーム、診察室でタイプを変える必要があります。
特に、診察室は自然光での見え方も踏まえ、調光できる設備を備えておくと安心です。
また、待合室は少し柔らかな照明にし、患者さんの不安を少しでも和らげることができるように心掛けましょう。

人材募集について

保険診療の皮膚科における人材募集では、通常の内科クリニックと同じように、医療事務と看護師を採用します。
また、必要に応じて看護助手を雇用すれば、より診察や治療がスムーズになることも考えられます。
ちなみに、一部美容の機器を設置する場合は、福利厚生で従業員への施術を実施することで、魅力的に感じる人材が集まりやすくなる可能性があります。

マーケティングについて

前述の通り、皮膚科に訪れる患者さんの年齢層は多岐に渡ります。
そのため、看板やチラシ、Web広告など、さまざまな媒体でマーケティングを実施しなければいけません。
また、アザやホクロの除去など、一般的に自費診療のイメージがある施術については、保険診療でも可能であることを訴求し、治療を受けようか悩んでいる患者さんの不安を取り除くことを意識しましょう。

皮膚科開業時の注意点

皮膚科を開業する際は、前述したポイントを押さえつつ、以下の点に注意しながら計画的に段取りしていきましょう。

・設備投資について
・他院との差別化について
・トラブル回避の対策について

設備投資について

皮膚科では、美容系の医療機器などを導入して集患を図ることができますが、開業時に焦って設備を導入しすぎないように注意しましょう。
なぜなら、これらの医療機器を導入する場合、数千万円単位の費用がかかることがあるからです。
開業直後は、ただでさえ黒字を出すのが難しいため、なるべく設備の導入費用は抑え、必要最低限の設備を揃えるようにしてください。
先ほど、開業後は早めに経営を軌道に乗せることが重要だという話をしましたが、開業時のコストを抑えなければ、黒字が生まれるまでの期間が長くなってしまいます。

他院との差別化について

皮膚科は他の診療科目と比べ、平均患者数や平均売上などの数字が大きいです。
しかし、同時に競争の激しい診療科目でもあります。
ここ数年で皮膚科の新規開業は著しく増加していて、同じエリアには当然患者さんの獲得競争が存在します。
そのため、他院との差別化を図ることができなければ、スムーズに平均患者数や平均売上を達成できません。
最近では、医業もサービス業であるという世間的な認識が広まりつつあり、適切な医療はもちろんのこと、それ以上のプラスアルファを求めている患者さんが多くなっています。
例えば、待ち時間の短縮、院内の雰囲気や従業員の対応などに力を入れることで、このような患者さんのニーズに応えることができます。

トラブル回避の対策について

美容系の施術を採り入れる皮膚科の場合、施術内容や結果について、患者さんに納得してもらえないという可能性もあります。
特に、二重まぶたの形成やフェイスリフトなど、誰もが納得する正解の存在しない施術は、このようなトラブルにつながることも珍しくありません。
そのため、皮膚科では契約書や同意書を作成するとともに、医師賠償責任保険への加入、顧問弁護士との契約など、守りを固めることも意識する必要があります。

まとめ

ここまで、皮膚科の平均患者数や平均売上、開業時のポイントや注意点について解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
他の診療科目に比べると、皮膚科の平均患者数や平均売上は多く、開業後はできるだけスムーズに集患できるような経営を心掛ける必要があります。
また、開業時にいくつかのポイントを押さえておくことで、十分や集患や売上を達成できるまでの期間は短縮されます。


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