クリニックや医療法人は、MS法人を設立することで、事業規模の拡大や合理的な所得の移転をすることができます。
たたMS法人には、“すぐに設立すべきではないタイミング”が存在します。
今回解説する状況に自身が経営するクリニック、医療法人が当てはまっている場合は、すぐにMS法人を設立すべきではないと考えましょう。
目次
すぐにMS法人を設立すべきではないタイミング①展開する事業が定まっていない
MS法人を設立すれば、クリニックや医療法人にはできない不動産業務、医療機器の販売やリース業務などを行うことができます。
事業規模を拡大して、組織全体の利益を上げられるというところが、MS法人設立における大きな利点の1つです。
したがって、MS法人で展開する事業がまだ定まっていないという場合は、すぐにMS法人を設立すべきではないタイミングだと言えます。
すぐにMS法人を設立すべきではないタイミング②人材が揃っていない
MS法人を設立するのであれば、当然MS法人の代表者や役員を誰にするのか、事前に決定しておかなければいけません。
ただ医療法人の役員が、MS法人の役員を兼務することは原則認められていません。
特に医療法人の理事長とMS法人の代表者を同一することは、利益相反の観点から禁止されています。
したがってMS法人を設立する際は、必ず事前に代表者、役員を務める人材を、医療法人における役員とは別に確保しておく必要があります。
つまり、誰がMS法人の代表を務めるのか、誰が役員を務めるのかが明確でない場合、または人材が揃っていない場合は、すぐにMS法人を設立すべきではないタイミングと言えます。
すぐにMS法人を設立すべきではないタイミング③設立費用がない
MS法人を設立する場合は、当然ながら設立費用がかかります。
株式会社でMS法人を設立する場合、数十万円の費用がかかるだけでなく、人材紹介業や人材派遣料の許可を取るのであれば、資本金を500~2,000万円程度しなければいけないこともあります。
したがって、クリニックや医療法人が求めるMS法人の形を実現するための費用が用意できない場合は、当然MS法人を設立すべきではないタイミングだと言えます。
まとめ
すぐにMS法人を設立すべきではないタイミングについて解説しましたが、いかがだったでしょうか?
MS法人は、クリニックや医療法人にとってとても魅力的な法人です。
ただ設立したものの、大した利益や節税効果を生み出さなかったり、設立することでかえって組織の経営状況が圧迫されたりすると意味がありません。
したがって、焦ってMS法人を設立する必要はまったくないのです。