医師の開業が成功しやすい理由&開業医のメリット・デメリット


突然ですが、みなさんは起業に対してどのようなイメージをお持ちでしょうか?
「成功すればお金持ちになる」と思う一方で、「リスクが高い」と思う方も多いでしょう。
実は、医師の開業は一般的な起業よりも成功率が高いと言われています。
ここからは、その理由と開業医のメリット・デメリットを解説します。

目次

医師の開業が成功しやすい主な理由について

医療機関の一員として働く勤務医から、医療機関を経営する立場である開業医になるケースは、主に以下の理由で成功しやすいとされています。

・顧客を獲得しやすい
・融資のハードルが低い

顧客を獲得しやすい

開業医と聞くと、成功者が多いというイメージが強いです。
そのようなイメージの形成には、開業医独特の経営事情が関わっていると言えます。
クリニックの開業は、一般的な起業と似たような形になります。
しかし、他の業種と違い、医療業界ならではのサービスは、市民の生活には欠かせません。
例えば、風邪を引いた方が受診するというのは、医師がいなければ成り立たないサービスです。
同業者内での競争はありますが、一般的な起業と比べると顧客を獲得しやすいというのは事実です。
こちらが、開業医の成功率が高い理由の1つと言えます。
つまり、医療サービスは人間がいる限り必要なものであり、他の業種とは一線を画しているということです。
極端な話をすると、よほどの状況や後継者等の事情がなければ、倒産という事態は容易に回避できます。

融資のハードルが低い

開業医の成功率が高い言われるゆえんは、融資のハードルが低いところにもあります。
一般的な起業の場合、金融機関は融資対象の企業に対し、成功するかどうか、返済をきちんとしてくれるかどうかといった様々な不安を覚えます。
その結果、起業者の意思とは別に、融資が認められなかったということはよくあります。
一方で、医師の場合は話が別です。
確かに、開業にあたり返済計画や経営が大丈夫かどうか、じっくりと検討されることに変わりはありません。
しかし、医師という職業は、誰もが知っている安定職です。
もしかすると、一般人より資産状態等のハードルがそもそも高いということもあるかもしれません。
また、資産状況から判断するとなると、ある程度安心できる金額があった方が、融資を行っても金融機関の不安は少なくなります。
開業の成功率が高いのは、このような職業柄の特徴も関係していると言えます。
つまり、恵まれた環境でスタートできるということです。

さらに成功率を上げるには?

開業医の成功率をさらに上げるには、やはり開業の準備期間をできる限り長くすることが大切です。
開業に向けて必要な準備や手続きは極めて多く、普段の医師業と並行して行う必要があるため、数ヶ月という短期間で準備を行う場合は無理が生じます。
また、無理をすると余分な支出が増加したり、理想ばかりに目が行ってしまい、健全な判断ができなくなったりすることも考えられます。
もっといえば、自身が思い描く医療機関に適したエリア、物件がすぐに見つかるという保証はありませんし、開業の際は必要な医療機器、集患見込みなど多様な状況を加味しながら、経営として成り立つかどうか堅実な判断をしていかなければいけません。
そのため、開業の検討しているのであれば、最低でも開業の1年前から準備を始めることをおすすめします。
もちろん、その際には信頼できるコンサルタントを見つけ、各種の手続きや申請に精通した専門家を選定し、進めていくことも重要です。
近年は開業を専門とするコンサルタント会社が数多くあるため、インターネットなどで情報を収集しながら、実際に対面するなどして、自身に合ったコンサルタントを見つけてください。

開業医のメリット

一般的な起業よりも成功率が高いとされる医師の開業ですが、果たして勤務医から開業医になることには、どのようなメリットがあるのでしょうか?
代表的なメリットとしては、以下のことが挙げられます。

・働き方の自由度が高い
・収入面のメリットが大きい
・かかりつけ医として地域貢献できる

働き方の自由度が高い

勤務医と比べて、開業医は働き方の自由度が高いです。
医師としての顔、経営者としての顔を併せ持っているため、自身の裁量で理想の医療を実現できます。
また、勤務医にありがちな医局人事、人間関係による精神的なストレスが少なく、医療サービスの提供に力を入れることができるのもメリットです。

収入面のメリットが大きい

開業医は勤務医と比較して、収入面のメリットもかなり大きくなります。
開業医の平均年収は勤務医の2倍近くあると言われていて、他の医療機関との差別化により、患者さんが増加すると、収入の大幅アップも期待できます。
また、自院の評判がアップすれば、収入は青天井になり得るため、とても夢のある選択肢だと言えます。

かかりつけ医として地域貢献できる

開業医は、かかりつけ医として地域貢献することができます。
また、患者さんの家族を含めたサポートをすることにより、さらに地域医療への貢献が実感できます。
一度獲得した固定の患者さんは、大きな医療ミスやずさんな診療、対応などがない限り、離れていく可能性も低いです。

開業医のデメリット

一方、医師の開業には以下のようなデメリットもあります。

・簡単に休むことができない
・さまざまな能力が求められる
・支出が多い

簡単に休むことができない

勤務医はいつでも休めるのかというとそうではありませんが、開業医はより休むことに対してのハードルが高くなります。
特に、開業医が1人で診療を行っている小規模なクリニックでは、よほどのことがない限り、診療を待ち望んでいる患者さんのことを無視して休むわけにはいきません。

さまざまな能力が求められる

開業医は、医師であり経営者でもあります。
そのため、勤務医時代にどれだけ医療に関する実績をつくった方であっても、経営に関する勉強を一から行わなければいけません。
また、かかりつけ医としての地位を確立するためには、これまで以上にコミュニケーション能力を向上させる必要があり、こちらもしっかり勉強して身に付けなければいけません。

支出が多い

開業医は勤務医と比べて平均年収が高い傾向にありますが、もちろんこちらの金額がすべて手に入るわけではありません。
クリニックなどの医療機関を経営するためには、従業員に給与を支払ったり、賃料や光熱費を支払ったりする必要があります。
また、長い間医療機関を経営していると、リフォーム費用や設備投資費用など、まとまった費用が必要になるケースも増えてきます。

開業医には退職金が存在しない

勤務医とは異なり、自身が経営者となる開業医には、勤め先から支給される退職金というものが存在しません。
退職金制度が存在しない医療機関に勤める勤務医同様、自身で老後の資産を形成する必要があります。
リタイア直前になって、急にまとまった金額を用意することは、いくら開業医の年収が高いとはいえ、難しいことです。
そのため、毎月一定額を積み立てたり、資産運用をしたりすることで、時間をかけて老後の生活資金を準備していくのが一般的です。

まとめ

「開業は失敗しやすい」というのは、よく言われがちなことです。
しかし、そのようなイメージがあるのは、開業後の経営や事前の経営計画が上手くいかなかった場合が大きく取り上げられているからです。
そもそも開業医自体は、成功率が高い事業と言っても過言ではありません。
基礎的なポテンシャルは高いため、あとは医師の経営手腕によって、その後の良し悪しが分かれると考えて下さい。


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