クリニックの建築時、建物に設置する窓の大きさ、開け方などにこだわる方は多いかと思います。
しかし、せっかく窓にこだわるのであれば、採用する窓ガラスも慎重に決めることをおすすめします。
ここからは、クリニックで使用できる窓ガラスの種類を細かく解説しますので、気になる方はぜひご覧ください。
目次
窓ガラスの種類は大きく分けて2種類
クリニックの建築時に使用する窓ガラスは、大きく分けて以下の2種類です。
・一般ガラス
1枚のガラスでできているタイプの窓ガラスです。
・機能ガラス
破損時の安全性や防音、結露防止など、さまざまな機能を持った窓ガラスです。
一般ガラス
一般ガラスは、さらに以下の種類に分けられます。
・フロート板ガラス
・型板ガラス
・すり板ガラス
・網入り、線入りガラス
それぞれの特徴を見てみましょう。
フロート板ガラス
もっともポピュラーな透明板ガラスをフロート板ガラスといいます。
いわゆる普通のガラスであるため設置コストが安く、透明のため日光を採り入れやすいという特徴があります。
ただし、断熱性能は高くないため、すべてをフロート板ガラスにしてしまうと、院内の冷暖房効率は下がりがちになります。
型板ガラス
2本のロールを使用したロールアウト法で作られた窓ガラスを型板ガラスといいます。
果物の梨のようにザラザラした手触りの梨地、厚みと表面の粗い凸凹が特徴の霞に分けられます。
適度に視線を遮ることができ、価格も比較的安いですが、割れやすいため防犯性は低く、耐熱性もあまり高くありません。
すり板ガラス
透明ガラスの片面のツヤを消し、不透明にした窓ガラスをすり板ガラスといいます。
乳白色で不透明のため、外からの視線が気になる道路に面したクリニックなどには向いています。
また、デザインが豊富で、インテリアとして楽しむこともできます。
一方、水に濡れると透明になってしまうところや、汚れが付きやすく取れにくいところ、衝撃や熱に弱いところはデメリットだと言えます。
網入り、線入りガラス
窓ガラスの中に金属の網を入れたタイプを網入りガラスもしくは線入りガラスといいます。
割れた際にガラスが飛び散ることや、火災発生時の延焼を防いでくれます。
ただし、長時間日光に当たり続けると、熱割れが発生してヒビが入るおそれがあります。
機能ガラス
では、次は機能ガラスに該当するものの特徴を見ていきましょう。
主に以下の通りです。
・強化ガラス
・合わせガラス
・複層ガラス
・防音ガラス
・防犯ガラス
・防火ガラス
強化ガラス
強化ガラスは、割れてもガラスの破片で負傷しない、安全性の高い機能ガラスです。
ガラス加工の際に表面を急激に冷やし、表面は圧縮応力、内部は引張応力を持つ状態に加工されていて、この圧縮応力がガラスを割れにくくしています。
また、割れても負傷しない理由は、フロート板ガラスように鋭利な破片にならず、細かく粒状に砕けるからです。
ただし、ガラス内に不純物があると、引張応力層に傷が生じ、不意に割れる可能性があります。
合わせガラス
合わせガラスは、名前の通り2枚のガラスが合わさっている機能ガラスです。
防犯性や遮音性、紫外線カットなどの特徴があり、ガラス間の樹脂膜は、さまざまなフィルムでオシャレに装飾することもできます。
また、不透明なフィルムを挟むことで、目隠しとして活用することも可能です。
複層ガラス
複層ガラスは、2枚のガラスと中間層で構成される機能ガラスです。
ペアガラスとも呼ばれます。
断熱性が高く、設置すれば大きく光熱費を節約できます。
また、結露の発生も防止できるため、こちらが結果的にカビの発生予防にも繋がります。
防音ガラス
防音ガラスは、主に合わせガラスに防音効果のある特殊な中間膜を使ったガラスをいいます。
外からの話し声や前面道路の走行音、強風による音など、さまざまな音を防いでくれますが、構造上掃除がしにくいというデメリットがあります。
防犯ガラス
防犯ガラスは、合わせガラスの間に、ポリカーボネート板などの防犯性の高い板を入れる機能ガラスです。
ドライバーやバールなどによる破壊にある程度耐えられますが、絶対に割れないわけではないため、補助錠など他の防犯対策と組み合わせる必要はあります。
防火ガラス
防火ガラスは、火災発生時の熱で火災が割れたり、ガラスが割れて建物の外、中に炎が広がったりするのを防ぐ機能ガラスです。
金網入りのものと、特殊な加工を施して超強化処理をしたものがあります。
一般ガラスの6倍以上、強化ガラスの2倍以上という強度が強みですが、超強化処理をしたものに関しては、交換や設置にかかる費用が高額になります。
まとめ
ここまで、クリニックの建築時に使用できる窓ガラスの種類について解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
窓ガラスを設置する際は、まずどのような機能を求めているのかを整理し、各エリアに応じた適切なガラスを選択しましょう。
そうすることで、クリニックにおける医者や従業員、利用する患者様の利用環境をより快適にすることができます。
もちろん、コストとの兼ね合いを考慮するのも忘れてはいけません。