クリニックの建築時に使用できる防音材の種類について


クリニックの建築時には、防音対策、特にプライバシー保護や機密情報保持の観点から、会話の音漏れ対策を検討する方も多いかと思います。
また、このような工事をするのであれば、防音材について詳しく知っておく必要があります。
今回は、クリニックの建築時に使用できる防音材の種類と特徴について解説します。

目次

防音材は大きく3種類に分かれる

クリニックの建築時に使用できる防音材は、大きく以下の3種類に分かれます。

・遮音材
・吸音材
・防振材

遮音材は、名前の通り音を遮断するための材料であり、吸音材は音を吸収し、音の反響や共振などを防ぐためのものです。
また、防振材は住宅の振動そのものを吸収したり、抑制したりする材料を指しています。

遮音材の種類について

では次に、代表的な遮音材の種類と特徴を見ていきましょう。

・石膏ボード
・鉛シート

石膏ボード

石膏を主成分とした素材を板状にし、特殊な板紙で包んだ建築材料を石膏ボードといいます。
非常に優れた遮音性を持っている材料で、厚手品の使用や複数枚の重ね張り、吸音材との併用などにより、より効果を発揮します。
また、切断には特殊な道具を必要とせず、簡単に切断できます。
ただし、石膏と紙で造られているため、水や湿気には強くありません。

鉛シート

名前の通り、鉛を原材料としたシート状の遮音材を鉛シートといいます。
極力な遮音効果があり、天井や壁、床などに施工可能です。
また、吸音材の下張りにも適しています。
しかし、鉛は大気汚染の原因とされる有害物質に指定されているため、メーカーによっては製造販売を行っていない場合もあります。

吸音材の種類について

続いては、代表的な吸音材の種類とその特徴について解説します。

・ウレタンフォーム
・グラスウール
・ロックウール

ウレタンフォーム

プラスチック樹脂であるポリウレタンを原材料とした気泡状の吸音材をウレタンフォームといいます。
気泡に音が入り込み、中でいろいろな方向に跳ね返ることで、音のエネルギーを分散させ、反響や音漏れを少なくします。
中でも、内部の気泡が繋がり合った連続気泡と呼ばれるタイプは、もっとも吸音率が良いとされています。
ただし、硬質のウレタンフォームは、若干設置コストが高くなります。

グラスウール

ガラスを主原料とした、地球に優しい吸音材をグラスウールといいます。
多孔質材料であり、音の入射に伴う空気振動が内部の空気室部分に伝わり、粘性摩擦が生じることで、音エネルギーが熱エネルギーに変換されます。
中音域から高音域まで、幅広い音域において優れた吸音性を発揮するにも特徴です。
しかし、隙間なく施工するのが難しいところはデメリットと言えます。

ロックウール

高炉スラグや天然の岩石を原料とした、鉱物系の材料をロックウールといいます。
断熱材としての認識が強いですが、線維の間に詰まった空気が音のエネルギーを吸収する効果を持つことから、吸音材としても重宝されています。
また、鉱物系の材料であるため、シロアリ被害もほとんど起こりません。
しかし、グラスウールよりも価格は高く、なおかつ重さがあるため、脱落してしまうことも考えられます。

防振材の種類について

最後に、代表的な防振材の種類と特徴を見ていきたいと思います。

・防振ゴム
・ゴムシート

防振ゴム

名前の通り、音の振動を伝わりにくくするためのゴムを防振ゴムといいます。
細かく分けると、円柱型やV型、マウント型や吊り型などさまざまな種類がありますが、一般的には円柱型がよく用いられます。
振動、衝撃の伝達を防ぐ役割があるため、防振だけでなく緩衝、防音効果も望めるのがメリットです。

ゴムシート

読んで字のごとく、ゴム製でできたシート状の防振材をゴムシートといいます。
小さな防振や防音効果に優れていて、床などで防振材として使用する場合は、薄い紙シートなどを下に敷いてからゴム板を敷き詰め、その上からカーペットなどを敷きます。
施工が簡単なところがメリットです。

防音工事の費用について

上記のような防音材をバランス良く組み合わせて設置するためには、当然費用がかかります。
また、どのような防音工事をするかによって、以下のように費用相場は変わってきます。

防音工事の種類 費用相場
窓の防音工事 二重窓の設置 5~10万円
防音ガラスの設置 5~13万円
壁の防音工事 壁の内側に防音材を設置する 18~25万円
換気口を防音仕様にする 2~5万円
床の防音工事 防音床材の設置 6~23万円
床材の下に遮音材を設置する 30~80万円
防音室をつくる工事 部屋全体を防音室にする 230~400万円
組み立て式の防音室の設置 50~250万円

まとめ

ここまで、クリニックの建築時に使用可能な遮音材、吸音材、防振材の種類について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
冒頭でも触れたように、クリニックを建築時するにあたって、防音を意識するのはとても大切です。
音が漏れやすい建物や部屋では、大事な患者さんの情報が外部に漏れてしまったり、そもそも情報漏えいをおそれ、患者さんが寄り付かなくなってしまったりするおそれがあります。


この記事に関するお問合わせ

    お名前 *

    メールアドレス *

    メールアドレス(確認用) *

    お問合せ内容 *