使用する床材の種類によって、クリニックの雰囲気や機能性はガラッと変わります。
また、床材にはさまざまな種類があるため、各床材がどのような特徴を持っているのかついては、建築前に理解しておかなければいけません。
ここからは、クリニックの建築時に使用する代表的な床材の特徴を解説します。
目次
複合フローリング
合板、集成材、単板積層材などの基材と呼ばれる下地材の表面に、薄く削った天然木の単板を張って作られる床材を複合フローリングといいます。
張り合わせる天然木には、ナラやサクラなどが使われることが多いです。
また、複合フローリングには、天然木ではなく化粧板を張ったものもあります。
こちらは、樹脂や紙などのシートにさまざまな柄を印刷し、基材に張り付けたものを指しています。
伸縮が少なく、メンテナンスがとても楽なところはメリットの1つですが、無垢材と比較すると自然の風合いが少し物足りないという欠点があります。
ちなみに、複合フローリングの設置費用は、1㎡あたりおよそ4,500円~と、それほど高くはありません。
無垢フローリング
無垢の木材で作られたフローリングで、断面を見て単一の木材からできているものを無垢フローリングといいます。
無垢の木材とは、集成や積層といった木を継ぎ足す加工をしていない木そのもの、あるいはほとんど継ぎ足しのない木材、大きなパーツを組み合わせた木材加工品を指しています。
天然ものにほとんど加工を加えない製品であるため、自然素材の一種として数えられます。
また、無垢フローリングには、複合フローリングには出せない本物感、風格があるため、少しでも室内の雰囲気にこだわる方にはとても需要があります。
ただし、膨張、収縮するために反りや隙間ができやすく、傷つきやすいところはデメリットだと言えるでしょう。
ちなみに、設置費用は1㎡あたり10,000円~となっています。
カーペット
多くの方に馴染み深いカーペットも、れっきとした床材の1つです。
カーペットのメリットは、なんと言ってもクッション性が強いところです。
そのため、高齢者など足腰に不安を抱える方が多く訪れるクリニックには、とても向いています。
また、保湿性や吸音性に優れているというメリットもあります。
しかし、硬い床材とは違い、毛の間のダニやホコリなどが目立ちやすいのはデメリットだと言えます。
そのため、クリニック建築時にカーペットを採用する場合は、防ダニあるいは防汚加工が施されたカーペットを設置し、少しでもデメリットを減らせるように工夫しましょう。
ちなみに、設置費用の相場は1㎡あたり5,000円~となっています。
コルクタイル
木を切らず、樹脂を使用して製造される天然の木質系床材をコルクタイルといいます。
人と地球に優しい床材で、優れた遮音性を持っているのが特徴です。
また、コルクタイルの中には、耐摩耗性に優れたタイプや、床暖房に対応したタイプもあります。
ただし、水分の放置が膨張やシミに繋がる可能性が高い点、そして日光に当たると褐色してしまう点はデメリットだと言えるでしょう。
そのため、リノベーションでコルクタイルを設置するのであれば、南面の窓にはブラインドやカーテン、紫外線カットフィルムなどを取り付けることをおすすめします。
ちなみに、1㎡あたり9,000円程度で設置できます。
フロアタイル
塩化ビニール製のタイル状の床材をフロアタイルといいます。
表面にはさまざまな柄がプリントされていて、柄に合わせて付けられた凹凸がリアルな質感を表現しています。
メリットとしては、デザインが豊富な点と、耐久性が高い点が挙げられます。
また、簡単に折り曲げることができ、施工もしやすいです。
一方、素材自体にクッション性はほとんどなく、冬場は特に冷たくなりやすいため、素足での利用には向いていません。
設置費用は、1㎡あたり10,000円ほどかかります。
クッションフロア
クッション性に優れた、大きなシート状の塩化ビニール系床材をクッションフロアといいます。
名前の通り、クッション性に優れていて、なおかつ水にも強いです。
一般的な住宅などでは、水回り付近でよく使用されます。
また、防音機能やキズに強い機能など、機能性に優れたものも数多くあります。
もっといえば、ハサミなどでも簡単に切れるほど柔らかいため、施工にもそれほど苦労しません。
ただし、柔らかい床材であるがゆえに、重い家具などを長時間置いたときに残る凹みは、一度付いたらなかなか戻らなくなります。
そのため、家具等を設置する際は、脚が直接クッションフロアに接触しないように、家具用の脚カバーなどを用いる必要があります。
設置費用については、1㎡あたり4,500円程度とリーズナブルです。
まとめ
クリニックの建築時に使用する床材と一口にいっても、さまざまな種類と特徴があることは理解していただけたかと思います。
また、適した床材は設置場所や患者さんの層などによって異なるため、工事する際は慎重に選びましょう。
もちろん、床を含む内装工事をする際は、設置予算を前もって算出しておき、その範囲内に収めることも大切です。