快適なクリニックづくりを実現するための条件の1つに、風通しの良さが挙げられます。
クリニックを建築する際、陽当たりの良さやレイアウトなどと並び、こちらを重視する方は決して少なくないかと思います。
今回は、クリニックの風通しが良いことのメリット、風通しを良くするための工事について解説します。
目次
風通しが良いことのメリットは？
冒頭で、クリニックにおいて風通しの良さを重視する方は多いという話をしました。
では、なぜそこまで重視されるのでしょうか？
その理由は、以下のようなメリットがあるからです。
・湿気やカビを防止できる
・光熱費の節約につながる
・病気のリスクが下がる
・コロナ対策になる
湿気やカビを防止できる
クリニックの風通しが良くなれば、必然的に湿気がこもりにくくなります。
また、湿気が少なければ、カビや結露、シロアリなどが発生する可能性も低くなります。
もちろん、これは建物の寿命が長くなることにも繋がります。
光熱費の節約につながる
夏場の暑さの原因は、気温だけではありません。
風通しが悪く、湿度が上がってしまうことも、体感温度の上昇につながります。
風通しを良くすれば、同じ気温でも比較的涼しく感じますし、それによってエアコンをつける頻度が少なくなり、光熱費が安くなることも考えられます。
病気のリスクが下がる
風通しが良いクリニックは、壁内の湿気が抜けやすく、カビの胞子を吸い込んで病気にかかる可能性が低いです。
また、室内に菌が滞在するリスクも低く、こちらは、特に疾患を抱える患者さんが多く訪れるクリニックにとって、大きなメリットと言えます。
コロナ対策になる
今もっとも皆さんの日常を脅かしているものといえば、なんといっても新型コロナウイルスです。
ここ最近は、一時期と比べて報道の機会も減少してきましたが、いまだに感染が起こるケースは多いです。
また、クリニック内でも徹底的な対策が必要になっていますが、風通しが良ければ、3密でいうところの“密閉”は避けることが可能です。
風通しを良くするための工事とは？
クリニックの風通しを良くするためには、建築時に以下の工事を行うことをおすすめします。
・窓の工事
・サーキュレーターの設置
窓の工事
窓の種類を考慮することで、クリニック内の風通しはある程度確保することができます。
クリニックにおける一般的な窓といえば、やはり引き違い窓が挙げられます。
こちらは、左右どちらからでも開閉できるタイプの窓ですが、こちらをすべり出し窓、あるいは上げ下げ窓にするだけでも、風通しはかなり良くなります。
すべり出し窓とは、左右にスライドさせるのではなく、ドアのように押し引きして開閉する窓のことをいいます。
また、すべり出し窓の中でも、縦に開閉する縦すべり窓を設置すれば、ドアのように開いた窓ガラスに当たった風を室内に導くため、風は通りやすくなります。
一方、上げ下げ窓とは、上下方向にスライドさせて開ける窓のことをいい、空気の対流が起こり風量をコントロールしやすいため、こちらも通風に適しています。
サーキュレーターの設置
こちらは、正確にいうと工事ではありませんが、サーキュレーターを設置することも、クリニックの風通しが良くなることにつながります。
サーキュレーターとは、遠くまで届く直線的な風を起こすことで、室内の空気を循環させる家電製品をいいます。
エアサーキュレーターとも呼ばれます。
空気を循環させ、風通しを良くするのがサーキュレーターのメリットですが、具体的なメリットは他にもたくさんあります。
まず、サーキュレーターによって空気が循環することで、冷房や暖房の効率はアップします。
冷たい空気は、部屋の下の方に溜まりやすく、逆に暖かい空気は上の方に溜まりやすい傾向にありますが、サーキュレーターがあればそのムラを解消できます。
既存物件の場合は間取りの変更を検討しよう
居抜き物件などでクリニックを開業しようとする場合は、間取りの変更を検討しましょう。
例えば、2つの部屋があり、それぞれに大きな窓がついている物件があるとします。
このような場合は、2つの部屋の仕切りをなくし、1つの部屋にすることを検討します。
こうすることで、クリニック内に大きな空気の流れを生み出すことができます。
2つの個室を確保したい場合は、固定の仕切りを取り払い、可変式の間仕切りに変更する方法でも構いません。
また、さらに効果をアップさせたいのであれば、ドアから見てもっとも奥の部屋に風が抜けるよう、通り道を作ることも考えましょう。
具体的には、ドア側と奥側の両方から出入りできる部屋を中心付近に設けることで、違和感なく通り道を作ることができます。
まとめ
ここまで、クリニックの風通しにおける重要性、風通しを良くするための工事について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか？
風通しの良さは、クリニックで勤務する医師や従業員、訪れる患者さんにとっての大きなメリットであり、なおかつ節約にもつながります。
今後クリニックを建築しようとする方は、ぜひ今回解説したポイントを意識した間取り、設備の導入を検討してください。
