クリニックの院長は、相続人同士が揉めないことを考えて遺産分割の方法を指定しておくべきです。
そのためには、実践できる遺産分割の方法を把握し、相続人に遺言を遺しておくという方法が効果的でしょう。
今回は、クリニックの院長の相続人が実践できる遺産分割の種類について解説します。
目次
院長の相続人が実践できる遺産分割の種類①現物分割
院長の相続人が実践できる遺産分割の種類には、まず“現物分割”が挙げられます。
現物分割は、遺産分割の種類の中では最もポピュラーで、院長の相続財産をそれぞれそのままの状態で複数の相続人に分ける方法のことを言います。
例えば院長が現金、土地、建築物を所有しており、3人の相続人がいる場合は、1人に現金、1人に土地、1人に建築物をそれぞれそのまま相続します。
現物分割はとてもシンプルでわかりやすい方法ですが、すべての相続財産の価値が同じわけではないという欠点もあります。
したがって遺言を遺すのであれば、価値が高い財産を相続した相続人から、価値が低い財産を相続した相続人に対する現金の譲渡などについて明記し、相続の公正化を図るべきでしょう。
院長の相続人が実践できる遺産分割の種類②換価分割
“換価分割”も、院長の相続人が実践できる遺産分割の1つです。
換価分割は先ほどの現物分割とは異なり、院長の相続財産である土地や建築物を売ることによって現金に換え、その現金を複数の相続人で分けるという方法です。
したがって、現物分割のように相続される財産の価値に不公平性が生まれることがありません。
土地や建築物の売却によって得られる現金を分ける方法には、法定相続分として分ける方法、法定相続分とは別の割合で分ける方法の2種類があります。
売られる建物は売却の前に相続登記がされ、名義が登記された代表相続人が自身を含めた相続人全員に均等に現金を分配します。
院長が遺言を遺さなければ遺産分割協議で揉めやすくなる
もしクリニックの院長が、遺言によって前述の遺産分割の方法を実践するように指示しなかった場合、相続人同士での揉め事は起こりやすくなります。
相続人同士でも、代償分割などそれぞれの不満を最小限に抑えるための方法は実践できますが、院長が遺言を遺しておくことに越したことはありません。
まとめ
クリニックの院長の相続人が実践できる遺産分割の種類を解説しました。
院長はこれらの方法を把握し、どの方法を相続人に実践させるのか、また相続人同士が揉めないための対策を遺言に明記し、相続人に伝えるべきです。
“どんな方法でも、相続財産を相続できればOK”と考えている院長は、今すぐ相続人の負担を考慮した考えに改めましょう。