医療法人の中には、定められたルールの中でより事業規模を広げるために、高齢者施設の設置などを検討しているところも多いでしょう。
また中には、すでにそれらの施設の運営を開始している医療法人もあると思います。
実はこのようなケースにおいて医療法人は、工夫次第で消費税の還付を受けられる可能性があります。
目次
そもそも消費税ってどんな仕組みなの?
医療法人における消費税は、医薬品の仕入れ費用や診療材料、器具、設備、消耗品の購入費用などの支出に課税されます。
また収入で言うと、自由診療収入などにも消費税がかかります。
また医療法人が納付すべき消費税は、預かった消費税額(収入にかかる消費税額)から支払った消費税額(支出にかかる消費税額)を差し引いて弾き出されるわけではなく、預かった消費税額から、“支払った消費税×課税売上割合”を差し引いて算出されます。
ちなみに課税売上割合とは、消費税の対象となる収入を、“消費税の対象となる収入+消費税の対象とならない収入”で割った割合のことを言います。
医療法人が消費税の還付を受けるには?
高齢者施設等の建築費、設備導入費などで大きな支出がある事業年度の課税売上割合が高ければ高いほど、医療法人は多額の消費税の還付を受けられます。
このような場合、払い過ぎた消費税が戻ってくるためです。
別の言い方をすると、消費税の対象となる支出が大きくなる事業年度の課税売上割合がもっとも大きくなるようにすれば、より多額の還付を受けられるということになります。
設立したばかりの医療法人も消費税の還付を受けられる?
設立したばかりの医療法人でも、消費税の還付は受けられます。
設立して間もない医療法人の場合、建物等の引っ越し時期、そして事業を始める時期を考えて、事業年度の調整をすることで、消費税が還付されます。
また事業年度を調整できないという場合は、消費税の課税期間だけを短くするルールを利用することもできます。
すでに施設を運営している医療法人は、あまり消費税の還付を受けられない?
すでに高齢者施設などの施設を運営している医療法人は、新しい事業を始めるための大きな支出があったとしても、既存事業の課税売上割合が低く、あまり多額の消費税は還付されない可能性があります。
そのようなときは、課税売上が高いMS法人を設立することをおすすめします。
まとめ
医療法人が消費税の還付を受けるためのポイントについて解説しましたが、いかがでしたか?
少しルールは複雑ですが、高齢者施設などを運営する、またはすでに運営している医療法人は、消費税の還付を受けない限り、多額の“損税”を負担し続けることになります。
場合によっては、消費税還付の有無が医療法人の今後を左右するかもしれないため、ぜひ還付を受けるための工夫をしましょう。