医療法人が出資持分なしに移行する際の課税について!


医療法人が出資持分なし医療法人に移行する際、出資持分の処理の仕方などによって、出資者もしくは医療法人に対して課税義務が発生する場合があります。
したがって今回は、医療法人が出資持分なし医療法人に移行する場合のさまざまなケースにおける、課税について解説したいと思います。

目次

医療法人が出資持分なしに移行する際の課税①出資者全員が出資持分の放棄をした場合

まずは、医療法人が基金拠出型法人ではない出資持分なし医療法人に移行する際に、出資者全員が出資持分の放棄を行った場合の課税について見ていきましょう。
この場合、各出資者は経済的な利益を受けていないため、贈与税、または所得税の課税義務を負いません。
ただ医療法人は、出資持分の放棄に伴う出資者の権利に係る経済的利益に対して、贈与税が課税される場合があります。
ただ移行の際、持分の全部または一部の払い戻しをしなかったことによって生じる利益に対して、法人税が課税されることはありません。

医療法人が出資持分なしに移行する際の課税②出資者全員が出資額部分のみを基金として振り替えた場合

続いては、医療法人が基金拠出型法人に移行する際に、出資者全員が出資額部分のみを基金として振り替えた場合の課税について解説します。
この場合、各出資者は贈与税、所得税ともに課税義務を負いません。
ただ医療法人は、出資持分のうち利益剰余金部分の放棄に伴う出資者の権利消滅に係る経済的利益に対して、贈与税が課税されることがあります。
ただ先ほどのケースと同じように、移行の際に持分の全部または一部の払い戻しをしなかったことによって生じる利益に対して、法人税は課税されません。

医療法人が出資持分なしに移行する際の課税③利益剰余金部分も含めて基金として振り替えた場合

医療法人が基金拠出型法人に移行する際に、利益剰余金も含めて基金として振り替えた場合、各出資者に贈与税は課税されません。
ただ出資持分の払い戻しを受けた出資者は、利益剰余金部分に相当する額について、みなし配当として所得税の課税義務を負います。
ちなみにこの場合医療法人は、贈与税、法人税の課税義務を負いません。

まとめ

医療法人が出資持分なし医療法人に移行する場合のさまざまなケースにおける課税について解説しました。
医療法人が出資持分なしに移行する場合、今回解説したようにさまざまな場面で複雑に課税義務が発生するため、出資者と医療法人は、どこで自身または自院に課税義務が発生するのかを把握しておきましょう。
把握していないと、想定外の経済的ダメージを負う可能性があります。


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