MS法人の役員に関しては、いくつもの複雑なルールがあり、わからない部分があるという方も多いかと思います。
今回は、そんな方々に向けて、MS法人の役員に関する質問にQ&A形式で回答したいと思います。
本記事で、1人でも多くの方の疑問を解決できれば幸いです。
目次
MS法人の役員に関する質問①役員になれる人物について
Q.MS法人の役員になれるのはどんな人物ですか?
また、子どもでも役員になれるのでしょうか?
A.会社法の“欠格事由”に該当する人物以外であれば、MS法人の役員になることができます。
会社法の欠格事由には、以下のことが挙げられます。
①法人
②成年被後見人と被保佐人
③会社法、証券取引法等に定める罪を犯し、刑に処せられ、その執行を終わり、またはその執行を受けることがなくなった日から2年未満の者
④上記以外の罪を犯し、禁固以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで、またはその執行を受けることがなくなるまでの者(執行猶予中の者を除く)
子が未成年の場合でも、欠格事由には該当しないため、両親などの親権者が同意すれば役員になれます。
ただ、役員の選定は出資者の選定と同時に行うべきであるため、基本的には院長夫人が務めるべきでしょう。
MS法人の役員に関する質問②役員報酬について
Q.医療法人とMS法人の役員報酬は、同時にもらってもいいのでしょうか?
A.条件を満たしている場合、医療法人とMS法人の役員報酬は、同時にもらっても問題ありません。
具体的には、以下の条件を満たしている場合です。
①個人診療所の場合、その診療所の開設者が、個人診療所と利害関係のある営利法人等の役員を兼務していないこと
②法人診療所の場合、その法人の役員が、法人診療所と利害関係のある営利法人等の役員を兼務していないこと
③個人診療所および法人診療所が、営利法人等から土地や建物を借りている場合で、営利法人等の規模が小さく、役員を第三者にすることが難しい場合、契約内容が妥当だと認められる場合、かつ医療機関の非営利性に影響を与えるものでないこと
④営利法人等との取引額が少額であること
ただし、役員報酬の金額については、別途考慮する必要があるため、注意が必要です。
まとめ
ここまで、MS法人の役員に関する質問に回答してきましたが、いかがでしたか?
回答内容を見てもらえればわかるように、MS法人の役員に関するルールはとても複雑で、1つのルールについて把握するだけでも、多くのことを覚えなければいけません。
したがって、これからMS法人を設立しようとする個人開業医、医療法人は、慎重に設立までの手続きを進める必要があります。